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対抗策

「(ついに魔物の群れと青騎士団の戦闘が、始まったみたい)急がないと」


 赤い棒をまた手に取り、プリシラはテーブルの上を今一度見下ろす。


(ここの部品は別口で作っていたものを活用して、そっちは……)


 一から作るより既にあるものを使った方がいいと判断し、プリシラはいくつかの部品を少し加工した。

それらを箱の中に設置し、最後に動力源となる魔石をはめ込む。

一応、この時点で魔道具そのものは完成だ。


「あとは、蓋をすれば完璧……」


『『『プリシラ、なんか変なやつら来ているよー』』』


「ん?変なやつら?」


 不意に玄関の方を見やる精霊達と、釣られて顔を上げるプリシラ。

でも、手は止めない。


『うん、あのねー、黒い服装の人間ー』


「黒い服装ってことは、青騎士団の人達じゃないね(名前の通り、青を基調とした団服や鎧を着ているから)ちなみに何人、居るの?」


『三十四人だよー』


「かなり多いね(数人なら、スタンビートで逃げてきた冒険者や民間人かな?と思うけど、二桁越えとなると何かの部隊である可能性が高い。ただ、援軍ではなさそう。あまりにも到着が早すぎるし、会議用のテントじゃなくて私の方に来ているのがおかしいもの)」


 至って冷静に分析し、プリシラは蓋をする作業を終えた。


「多分、その人達は私のことを狙ってきているね。この混乱に乗じて、何か仕掛けようとしているんだと思う」


『『『なんだってー!』』』


「そうなると、今回のスタンビートを起こしたのも彼らかな?陽動として使った、みたいな」


『『『よし、消そう!』』』


 迷わず即決する精霊達に、プリシラは小さく首を横に振る。

鉄の箱を鞄に仕舞いながら。


「それはダメ」


『『『えぇー!?どうしてさー!?』』』


「まだ確信がある訳じゃないし、仮にその通りであれば背後関係を明らかにしないと。そのためには、彼らから情報を引き出す必要があるの。消すのは、そのあとね」


 さすがのプリシラも、ここまでやられれば慈悲を掛ける気は起きないらしく非常に冷徹だ。

昔、情けを掛けて見事に裏切られただけ余計に。

優しいだけでは、やっていけない世知辛い世の中である。


『じゃあ、とりあえず捕まえるー?』


『るー?』


『ぅー?』


「うん、そうしてくれると助かるかな」


 放置する訳にもいかないので、プリシラは精霊達の折衷案を受け入れた。

その瞬間、家の外が騒がしくなる。

恐らく、黒い服装の者達と警備の騎士達が戦闘を始めたのだろう。


『『『がってんしょーちー!』』』


 精霊達は嬉々として家から飛び出し、黒い服装の者達(三十四人)に苦戦する警備の騎士達(五人)に加勢する。

と言っても、共同戦線している訳ではなくて勝手に黒い服装の者達を倒しているだけ。

なので、プリシラ以外の目には『何もしていないのに、気絶している』という風に見える。


「い、一体何が……!?」


「こいつら、全員寝不足か!?」


「そんな訳あるか!」


 セドリック率いる警備の騎士達は、剣を構えたままオロオロする。

────と、ここで黒い服装の者達……その最後の一人が、気を失った。


『『『えいっ!』』』


 可愛らしい掛け声と共に、地面から生やした蔓で黒い服装の者達を縛り上げる精霊達。


「「「?」」」


 地面に転がる黒い服装の面々を前に、セドリック達は目を瞬かせる。


「魔法……?いや、でも誰が……?」


「まさか、あっちの自爆(誤爆)……」


「それはさすがにないだろう。蔓が現れたのは、全員気絶したあとだったし」


 怪訝そうな表情を浮かべつつ、セドリック達は一先ず剣を下ろした。

と同時に、プリシラが玄関の扉から顔だけ出す。


「あの、その人達の対応はお願いしてもいいですか?今回のスタンビートに関与しているかもしれなくて」


「「「プリシラ様!?」」」


 僅かに目を見開き、セドリック達はプリシラの登場に驚いた。

かと思えば、納得する。


「「「(なるほど、彼らの気絶や蔓の拘束はプリシラ様のお力(魔道具)によるものだったのか)」」」


 正確には、精霊達のおかげなのだが……ここでセドリック達の勘違いを指摘出来る者は、居ない。


「畏まりました。こちらで対応いたします。それから、助太刀ありがとうございました」


 セドリックが代表して答え、深々と頭を下げる。

それに倣って、他の騎士達も感謝の意を表した。


「いえいえ、気にしないでください(だって、私は何もしていないし)」


 セドリック達のことを軽く宥め、プリシラは腕時計に手を掛ける。


「じゃあ、私はお兄様のところに行くのでそろそろ」


「あっ、でしたらご一緒します。道中、何かあっては大変ですから」


「いえ、大丈夫です────歩いていく訳じゃ、ありませんから」


 そう言うが早いか、プリシラは転移系の魔道具(腕時計の効果)を発動した。

無事に会議用のテントへ転移を果たし、彼女は鞄の中に手を突っ込む。

その刹那、レクスがプリシラの存在に気づいて顔を上げた。


「プリシラ!」


「お兄様、新情報と対抗策を持ってきたよ」


 早速本題に入るプリシラは、スタンビートの原因や黒い服装の者達について話していく。

テーブルの上に、薄いガラスの容器と鉄の箱を置きながら。


「で、これが魔物除けの香。割れると中から液体が出るんだけど、ちょっと臭い(・・・・・・)の。あくまで、人間的にはね。嗅覚の優れた魔物にとっては、耐え難いレベルだと思う。だから、余程のことがなければ逃げ出す筈」

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