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魔法の石  作者: 櫻木サヱ


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光のかげ

村の広場での出来事から数日が経ちました。リリは毎日、魔法の石と共に森や村を歩き、困っている人や悲しんでいる人を助けていました。井戸の水をきれいにしたときの感動は今でも胸の中に残り、石の力を信じる気持ちは日に日に強くなっていきました。


ある日のことです。リリは森の奥で、小さな花畑を見つけました。その花畑には、最近病気になった村の子どもたちがよく遊びに来る場所でした。リリはふと思いました。「石の光で、花たちをもっと元気にできたら、みんなも喜ぶかもしれない」


リリはそっと石を取り出し、花の上にかざしました。すると、石は柔らかな光を放ち、花々は一瞬にして鮮やかに咲き誇りました。花の色は普段よりも濃く、香りも甘く漂いました。リリは嬉しくなり、思わず「やった!」と声をあげました。


しかし、その瞬間でした。光が強くなるにつれて、近くの草むらで小さな動物たちが戸惑ったように動き、遠くの木の葉がざわざわと揺れ始めたのです。リリは急いで石を下ろしましたが、光はまだ少し残り、森全体に淡い明るさを広げていました。


「…あれ?」リリは不安になりました。石は、誰かを喜ばせるためだけに使えばいいと思っていたのに、力を使いすぎると周りに影響を与えてしまうのかもしれません。リリは初めて、魔法の石には自分の想像以上の力があることを実感しました。


その夜、リリは石を抱きしめながらベッドに座りました。窓の外には月の光が静かに降り注ぎ、森の影が長く伸びています。リリは心の中でそっと話しかけました。「石…君は優しいけれど、力を使いすぎるとちょっと怖いこともあるんだね」


夢の中で、リリは石の光の中に小さな影を見ました。影は静かに森を漂い、光と影が混ざり合う様子はまるで水面に映る木の影のようでした。リリはその光景に息を呑みました。石はただの光ではなく、使う人の心や行動によって、力の強さや影響が変わることを示していたのです。


翌朝、リリは森の中で小鳥たちと会いました。小鳥たちはいつも通りにさえずり、草むらには元気な虫たちが動き回っています。リリはほっと胸をなでおろしました。「大丈夫…少し使い方に気をつければ、みんなに喜んでもらえる」


リリはこの日、石の力には限界があり、使うときには注意が必要だと学びました。そして同時に、力を正しく使うことができれば、石は人々の笑顔や幸せを守るための大切な存在になれるのだと理解しました。


こうして、リリは魔法の石と向き合い、力を使う責任を少しずつ学びながら、村の小さな守り手としての冒険を続けるのでした。光の陰に隠れる小さな秘密を知ったことで、リリの心はより慎重で優しいものに変わりつつありました。


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