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夕暮れ

「彩音、久しぶりー」

「帰ってたの? 元気だった?」

 社務所の彩音に、女性が話しかけてきた。どうやら、同級生のようだ。

 人口六千人程度の小さな町なので顔見知りが多い。夏祭りは、お盆休み中と重なっている。自然と帰省している友人や知り合いと出くわす。


「今日は、弟が御朱印を書いているのよ」

「え? 恭一君だったの? 大きくなっていてビックリした」

 恭一は、彩音の同級生に軽く会釈した。

 彩音の同級生は、少し話した後、お守りを買いその場を去っていった。


「長月君、小野田君」

 次は、恭一達の同級生が社務所にやって来た。

「高井さん、土屋さん、こんにちは」

 麻人が、にこやかに二人に挨拶をした。


「二人とも、その格好が似合ってるね」

 土屋琴子が、恭一と麻人をまじまじと見ながら言った。

「ほんと、様になってる」

 高井鈴華は、さらっと見てにっこりした。その横で、土屋琴子が悠や奈穂の方を向き、手を振っている。


「長月君が御朱印を書いてるの?」

「まぁ」

「ちょっと待ってて」

 高井鈴華が、彩音達のいる方へ行き御朱印帳を見ていた。社務所では、お守りやお札などと一緒に御朱印帳も置いてある。


「お願いします」

 高井鈴華が、買ったばかりの御朱印帳を恭一に差し出した。

「どのページに書けばいいかな? 開いてもらえる?」

「私、御朱印帳って初めてなの。最初のページでOK」

「いいの?」

「うん」 

 恭一は、記念すべき1ページ目なので責任重大だなと思い緊張した。筆をとり、平静を装いながら文字を書いていった。

 そんな恭一を、麻人や高井鈴華や土屋琴子がじっと見ている。

 恭一は、文字を書き終えた御朱印帳を麻人に渡した。麻人は、両手で丁寧に受け取り、判を押し高井鈴華に手渡した。

「ありがとう。綺麗な字ね。なんか嬉しい。これから御朱印を集めようかな」

「喜んでもらえて嬉しいよ。良かったね、恭一君」

「うん」

 恭一は、同級生に喜んでもらえ素直に嬉しかった。それに、麻人が楽しそうなので誘って良かったなと感じていた。


 社務所は、いつも通り夕方五時頃には閉める予定である。夏祭りで、普段より人が多く五時を過ぎても閉めることができなかった。やっと並ぶ人もいなくなり、恭一達は社務所を片付けることにした。


「お疲れ様」

「今日は、ありがとう。助かった」

「楽しかったな。僕の方こそ、ありがとう」

 笑顔の麻人を見て、恭一もフッと笑った。


 辺りは少し薄暗くなり、神社の灯篭(とうろう)に明かりがついた。朱色の灯篭が橙色に光り、夕焼け空がより美しく見えた。

「綺麗だね」

「そうだな」

 二人は、ぼんやりと空を眺めていた。

 

 夏祭りの日は、商店街は提灯が並べられ、普段と違い町が華やぐ。他の地域からも人々が訪れ、商店街も活気づく。


「夏祭りの儀式まで時間があるし、ちょっと出店でも見に行かないか」

 恭一は、麻人に言った。

「うん。いいね。行こう」

 二人は恭一の自宅へ、着替えに戻った。

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