ストーカー?
学校へ行くと、教室の椅子に座り、麻人が窓の外を見つめ浮かない顔をしていた。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
「おはよう、恭一君。実はさ……悠のことなんだけどね」
麻人から事情を聞くと、最近、悠が誰かにつけられているような気がすると言っているのだ。学校の帰り道、何か気配を感じ振り向くと、すっと誰かが隠れてしまうようだった。視線を感じ、怖くなって走って帰ってくることが続いている。今のところ、何もないようだ。
「ストーカーなのか?」
「それが、分からないんだよ」
「心配だよな」
「僕、今日は跡をつけてみようと思うんだ」
「俺も行くよ」
恭一と麻人は、一緒に悠を尾行する事にした。
放課後、恭一と麻人はそわそわしながら校門を出た。
「悠、大丈夫かな?」
「そうだな。女の子だしな」
前世の悠だと腕っぷしが強く問題はないが、今世は女の子で気掛かりである。
恭一と麻人は、自宅の最寄り駅に着いた。
「悠は、少し後の電車だと思うんだ。隠れて待っていよう」
恭一と麻人は、改札を出て向かいの道に渡り、細い路地に隠れて待っていた。
「あ、悠だ。改札を出たよ」
麻人の言葉に、恭一は、
「おお!」
と答え、気を引き締めた。
悠は、少し落ち着かない様子で改札を出て、コンビニに入っていった。
「麻人、あいつ怪しくないか?」
悠が入ったコンビニの入口から少し離れた所で、制服の中学生らしき少年が悠の方を見ている。
「本当だ。なんか変。中学生っぽくない?」
「うん。同じ学校か?」
悠が、コンビニを出た。
「悠、食いしん坊だな。きっとお菓子か何かを買ったんだよ」
こんな、緊張感がある中で麻人がぼやき、恭一は笑いそうになるのを堪えた。
悠が歩いている後ろを、その怪しい少年がつけているのが分かる。
「やっぱり、あの子だよ。声かけてみるよ」
「そうだな」
二人は、速足で少年に近付き、恭一が彼の肩を軽く叩いた。
「君、あの子に何か用か?」
小柄な少年は、背の高い恭一を見上げ、怯えているのか震えている。そして、手に持っていたA5くらいの黄緑色の厚紙を地面に落としてしまった。
麻人がその用紙を拾い、少年に渡した。その用紙には音楽発表会と書いてあった。
「お兄ちゃんと恭一様も、どうしたの?」
悠が、恭一と麻人に気付いたようで、近付いてきた。
「この子が、悠をずっと見ていたんだよ」
麻人は、悠を自分の後ろにして守ろうとしている。
「あ、あなた隣のクラスの……」
「すいません。1年3組の景山です」
「え?」
恭一と麻人は、言葉を失い呆然としていた。




