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 恭一は、居間の縁側に腰掛けぼんやりと空を眺めていた。麻人と悠を自宅近くまで送り、別れ際、いつもと変わらず笑顔で手を振っていた麻人の顔を思い出していた。


「恭一、ぼんやりしてどうしたの?」

「姉さんか。ちょっと考えてしまう事があってさ」

「何?」


 恭一は、麻人に言われたことを彩音に話した。来世は男に生まれたいと願ったこと。今世では、共に色んな事をしたいと言ったこと。そして、同じ位置で肩を並べ、恭一を守りたいと言ったこと……


「なるほどね。前世の恭一は、とても愛されていたのね」

 彩音に言われ、恭一は少し恥ずかしさはあったが、嬉しくもあった。自分も、前世の妻のことをとても大事に思っていた。


「麻人とは、どう付き合っていけばいいんだろうか」

「恭一は、どうしたいの?」


「改めて言われると、よく分からないんだ」

「でも、今まで通り一緒にいたいんでしょ?」

「そうだな。一緒にいることが当たり前に感じるんだ」

 

 恭一は、麻人と悠といる時は家族といるような気持ちになっていた。ちょうど、姉の彩音といる時と同じような気持ちだった。


「恭一は、真面目に考えすぎよ。思ったままに行動したらいいのよ」

「そうなのか」

「私だったら、思いっきり今を楽しむわ。こんな出会い、奇跡だわ」

「本当だな」

「後悔したくないでしょ」


 恭一は、姉のプラス思考にいつも救われている。思い悩むことがあっても、彩音に話すと悩んでいることが、ばからしくなってしまうのだ。


「姉さん。いつもありがとう」

「何? 今日の恭一、とっても素直ね」

「姉さんは、悩んだりしないのかな?」

「失礼ね。私だって、落ち込んだり悩んだりします」


 口を尖らせた姉を見て、恭一は可愛らしいなと思った。


「姉さんが悩んでいる時は、いつでも言ってほしい。役に立たないかもしれないけど」

「ありがと。その時は、よろしくね」


 彩音は、明日の早朝に下宿先に戻るため、もう寝ると言い自分の部屋に戻っていった。


 恭一も自分の部屋に行き、明日の学校の支度をしていた。ふと、カレンダーを見て、もうすぐ夏休みだなと思った。今年の夏は、麻人や悠と一緒に何をしようかと思いを巡らせ、待ち遠しいなと感じていた。


 

 恭一は、懐かしい夢を見た。

 前世の妻や雄吉、それに子供達が庭で遊んでいる。そして、みんな楽しそうに笑っている。

 

 目覚めた時、何故そんな夢を見たのだろうかと思い、しばらくの間、感傷にふけっていた。 

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