団らん
恭一が、一階へ降りて行くと、庭から香ばしい匂いが漂っていた。
「恭一、そこの飲み物を運んでくれる?」
慌ただしく台所で用意をしている母親に言われ、恭一はお茶やジュースのペットボトルを運んだ。
「ここに置けばいいかな?」
恭一がテーブルに飲み物を置くと、
「うん、ありがとう!」
明るく張りのある声で、麻人が答えた。恭一は、今日の麻人は、いつもより元気がいいなと思った。
「悠ちゃん、そこのお肉取って~」
「はーい!」
彩音に言われ、悠はお皿いっぱいに並んだ牛肉を差し出した。
「いいお肉よね。昇子おばさん、ありがとう」
「いいのよ。たくさん食べて」
彩音が牛肉やソーセージを焼いている横で、昇子がお皿やコップを並べている。
「ママ、このお肉、いつもの所で買ったの?」
「そうよ」
「悠ちゃん、ここのお肉、とっても美味しいのよ」
「わぁ、楽しみです。いい匂い。お腹すいてきた」
悠のわくわくしている様子を見て、奈穂が笑っている。
テーブルには、野菜サラダやおにぎりも並べられている。
「さぁ、みんな、そろそろ食べましょう。席に着いて」
コンロでずっと肉を焼き続けている彩音が、声を発した。
「姉さんも、席に着けよ」
「そうね」
恭一は、いつも明るく立ち回る姉には、本当に感謝している。
恭一達は席に着き、それぞれに飲み物を手に持った。
「それでは始めましょう。恭一、今日はお疲れ様でした」
彩音の第一声から、その場にいるみんなが、
「お疲れ様ー」
「乾杯!」
と自分達のコップを、恭一のコップに軽くぶつけてきた。
「今日は、恭一君の活躍を称えた会だね」
「そうですよね。恭一様、すごかったです」
「いや、負けてしまった……けど、来年も頑張るよ。二人ともありがとう」
麻人や悠の称賛は照れくさいが、素直に受け止めようと思った。
「さぁさぁ、たくさん食べてね」
昇子が、恭一の方を向いて声をかけた。すると、誰もが恭一にお肉や野菜など、どんどん置いてくる。
「こんなに食べられないよ」
恭一は困ってしまい、悠に渡そうとしたが悠の前にも、たくさん食材が置かれていた。
「悠、そんなに食べられるの?」
「大丈夫です!」
頬をいっぱいにしている悠の顔を見て、恭一は思わず笑ってしまった。
「悠、もっとゆっくり食べないと」
笑いながら、麻人が注意をしてきた。
「悠ちゃん、後でデザートもあるからお腹あけておいてよ」
「うん。大丈夫」
奈穂が、にこにこ顔で悠に接している姿は、姉妹のようだなと恭一は思い、頬が緩んでいた。ふと、横を見ると麻人が恭一を見ていた。にっこり微笑まれ、少し恥ずかしくなった。
縁側では、ビハクが何かを美味しそうに食べている。焼いて、細かくしたササミのようだ。
「ビハク、美味しいか? 危ないから、火に近付いたらダメだぞ」
恭一はビハクを撫でながら、希水のことを思い出し何を持って行くか考えていた。カラスって雑食だと思うが、何を食べるのだろうと悩んでいた。
おにぎりや、焼いたとうもろこしや、少しだけ肉をお皿に入れ、庭の裏側へ行った。
「希水! お待たせ」
「恭一、遅い」
希水は、まず肉から食べていた。肉食なんだと恭一は心の中で思った。
「美味しいか?」
「うん」
希水が食べている姿を、しゃがんで見ていると、
「恭一君、こんな所にいたんだ」
「わっ」
後ろから麻人に声をかけられ、恭一は驚いてしまった。




