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試合後

「これからの剣道部を頼む。お前達に託したぞ」

 恭一と城島建吾は、主将含め3年生に言い渡された。


 残念ながら、恭一達の西蘭高校は敗退してしまった。先鋒の恭一は1勝、次鋒の城島建吾も1勝。勢いよく、あと1勝すれば勝利であったが、そう簡単にはいかなかった。3番目の中堅は負けてしまい、4番目の副将も1敗。最後の選手は主将が務めたが、引き分けという結果になった。2勝2敗、引き分けとなった訳だ。この場合、次にワザを取った本数で勝利が判定される。


 恭一は、時間ぎりぎりで1本取り、1点。城島健吾は2点。合計3点である。

 相手校は、合計4点を取り、五葉台高校の勝利となった。


「長月。一年で先鋒を務め、よく頑張ったな」

 城島建吾が恭一の肩を叩き、語りかけた。

「いえ、まだまだです」

 恭一は、1本とったものの満足ではなかった。もっと稽古をして技術を磨き、精神的にも強くなろうと心に決めた。


 恭一は帰り支度をし、会場を出ると見慣れた顔ぶれが外で待っていた。麻人や悠や奈穂、そしてクラスメイトの森下、高井、土屋の面々だった。


「長月! お疲れ! ずごい一撃だったな」

 森下蓮が笑顔で声をかけてきた。

「ありがとう。でも、負けてしまった……」

 恭一は、珍しく感情を顔に出していた。悔しく、とても残念に思っていた。


「一年で、一番最初の選手だろ。あのプレッシャーの中でよく頑張ったと思うよ」

 森下蓮の言葉に続き、

「そうよ、スゴイことよ」

 土屋琴子が力強く言った。

「私、感動したわよ。同級生として誇らしいわ」

 高井鈴華が、恭一に向かって言った。

「ありがとう」

 恭一は、クラスメイトの励ましを嬉しく思った。

 

 恭一は、森下と高井と土屋と駅で別れ、麻人と悠と奈穂と一緒に帰った。

 

 4人で電車に乗り、他に乗客がいるせいもあり、みな無言だった。

 駅を降り、自宅の方へ向かっている時だった。


「恭一様、今日はとても感激しました」

 悠が、急に大きな声を出し、恭一は驚きのあまり口が開いた顔をしていると、麻人と奈穂が笑い出した。

「恭君、すごくカッコ良かった。王子様みたいだった。ね、悠ちゃん」

「はい! 将軍様みたいでした」

「何よ、それ。将軍って」

 奈穂が笑っていると、麻人が横でクスクス笑っている。


「恭一君、残念だったよね」

「そうだな」

 麻人がぽつりと言った言葉に、恭一が答えた。4人で、ゆっくり歩いていると、


「恭君。おばさんと彩音ちゃんが家で待ってるって言ってた」

 奈穂が言うと、

「そうか」

 と、恭一は一言発した。


「私も、恭一様の家に行きたいです。お兄ちゃんもよね」

「そうだね」


 恭一は、悠が妙に元気よく話すので、少し笑ってしまった。いつまでも、負けたことを気にしてはいけない。自分を見つめ直し、また努力すればいいと気持ちを切り替えることにした。

 そして、自分の周りにいる人達に感謝した。

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