お出迎え
恭一と麻人は、部活後に一緒に家路に向かった。
まずは、麻人の家に寄ることにした。家では、悠が留守番をしていた。悠にも、カラスの姿の希水が現れたことを話した。悠は驚き、麻人と共に恭一の家に行きたいと訴えた。
恭一は、2人が家に来ることを母親に電話した。母親は、張り切って晩ご飯を作ってくれるだろう。
麻人も、自分の母親に恭一の家に行くと連絡していた。麻人が制服から私服に着替えるのを待ち、恭一と麻人と悠は、一緒に歩き出した。
「こうやって、3人で行動することが多いよね。懐かしい気がするよ」
麻人が言葉を発すると、恭一も同じことを考えていた。
「私も、3人でいることが増えたなと思っていました。一緒にいると落ち着きます」
悠がぼそっと言うと、
「本当だな。俺も、2人と一緒にいると安心するよ」
恭一も、穏やかな表情で答えた。
恭一の自宅に着くと、玄関にビハクが座っていた。
「ビハク! お迎えしてくれたんだね」
麻人がビハクの顎を撫でると、ビハクは目を細め喜んでいるようだった。
恭一達が居間に入っていくと、
「おかえり! 晩ご飯できるまで、ちょっと待っててね」
母親が台所から話しかけてきた。今日は、煮物か何かなのか出汁のいい香りがする。
「いい匂いがします」
悠が言うと、
「悠は、食いしん坊だな」
と麻人がクスクスと笑っている。
「今日の晩ご飯は何だろうな。お腹が減ってきたな」
恭一が言うと、悠が笑顔になった。
「恭一! ちょっと手伝って」
台所からが母親に呼ばれ、麻人と悠も一緒にきてお皿やコップなど運んでくれた。
「今日は、親戚から新じゃがが届いたのよ」
「じゃがいも、大好きです」
悠が、母親に嬉しそうに答えていた。
食卓には、肉じゃが、ジャーマンポテト、小松菜のお浸し、豆腐とワカメの味噌汁、水ナスの浅漬けが並んだ。
「じゃがいも、ホクホクで美味しいです」
「そう? 喜んでもらえて良かったわ」
楽しそうにパクパクと食べている悠を見て、母親は上機嫌だ。
恭一も父親も、普段は料理に関して何も言わないので、悠のように喜んでくれると嬉しいのだろう。恭一も、もちろん母親の料理は美味しく思っているし、食事は楽しみにしている。ちゃんと、感想を言わないといけないなと少し反省した。
みんなで食事をしていると、仕事で遅くなっていた父親が帰ってきた。
「おかえり、お父さん。先に晩ご飯食べてるわよ」
少し疲れているような表情の父親に、母親が笑顔で出迎えた。
「こんばんは。お邪魔しています」
麻人と悠が元気よく挨拶をすると、
「麻人君に悠ちゃんか。ゆっくりしていきなさい」
と父親が言い、にこやかな顔になった。
恭一達が食事を終えると、麻人と悠は、食べ終えた食器を流し台に運んでいた。
「あら、いいのに。偉いわね、2人とも」
とチラッと恭一を見ながら、母親が言った。
恭一は、仕方なく自分の食器を運んだ。麻人も悠も、普段から片付けをしているのだろう。恭一は、少しばつが悪い思いをした。
食卓では、父親がお酒を飲みながらテレビを見ている。恭一は、麻人と悠とビハクを連れ、自分の部屋に行った。
「恭一君。希水は来るかな? ドキドキするな」
「楽しみです」
麻人と悠は、落ち着かない様子だ。恭一も、内心はドキドキしているが見た目には分からない。
すると、窓ガラスをコツコツと叩く音がした。




