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病室で

「お爺ちゃん、大変よ! 麻人君が事故にあったそうなの」

 彩音が、畑にいる陽一に慌てて声をかけた。


「それは大変だ。早く車に乗りなさい」

 畑にある小屋でくつろいでいた陽一が、急いで車を出してくれた。


 後ろの座席で涙目の悠に、彩音が悠の肩に手を添え

「大丈夫よ」

 と励ましている。

 

 病院に行ってみないと詳しくは分からないが、恭一も気が気でない。

 陽一も黙ってはいるが、表情で心配しているのが分かる。



 車を15分ほど走らせ、病院の前に着いた。短い時間であるのに、恭一は長く感じた。

「駐車場に車を止めるから、先に行ってきなさい」

 陽一に言われ、恭一達は病院内へ一目散に駆け出した。


 受付で麻人のいる場所を教えてもらい、恭一達は病室へ向かった。


「お兄ちゃん!」

 悠がドアを開け、大きな声を上げた。


「悠! 恭一君や彩音さんも」

 ベッドの上で体を起こし、元気そうな麻人がいた。側には麻人の母親がいる。


「大丈夫なのか?」

 恭一は、元気そうな麻人を見ることができ、ひとまず安心した。

「うん。全然平気」

 麻人は、いつも通りの笑顔で答えた。


「ちょっと腕と額を打ってケガしてるけどね。念のため、頭の検査をしてもらったけど大丈夫だったわ」

「良かったー」

 母親の言葉を聞くと、悠は泣き出した。

「お母さんも、病院に運ばれた時はビックリして……驚かせてゴメンね、悠」


「心配かけて、ゴメンね」

 母親の横で泣いている悠に、麻人が頭を撫でている。


「無事で良かったわ」

 彩音もほっとした様子だ。


 病室のドアが開き、大きな声で

「麻人君、大丈夫か?」

 恭一の祖父、陽一が声をあげ入ってきた。


「お爺さんまで」

 麻人が申し訳なさそうにして、小さな声で

「すいません」

 と謝っている。


「いやいや。大事にならず良かった」

 陽一も安心したようで、椅子に座りぐったりしている。


「お爺ちゃんこそ、大丈夫?」

 彩音がクスクス笑いながら言った。

「元気そうな麻人君を見て、ほっとしたら気が抜けたわ」

 と祖父が照れたように笑っている。


「それはそうと、一体どうしたんだ?」

 恭一が、麻人に聞くと

「いやぁ、僕が鈍臭くてさ……」


 麻人は、本屋に行こうと自転車に乗っていたところ、脇道から車が出てきたそうだ。驚いた麻人は急ブレーキをかけたのだが、溝の鉄板の上で滑ってしまいバランスを崩し倒れたそうだ。その時に、腕と額を打ちケガをしたようだった。車にぶつかった訳ではないが、車を運転していた女性が救急車を呼んでくれたそうだ。


 詳細を聞いていた横で、麻人の母親が恭一の祖父に

「ご心配をおかけして、すいません」

 と謝っている。

「いやいや。気にしないでください」

 と陽一が大きな元気な声で答えていた。


 麻人の母親が詰所に行ってくると言い病室を出ていった。陽一も、車にビハクを残しているから見てくると言うと彩音も一緒に行くと2人も外に出ていった。


 恭一、麻人、悠の3人が部屋に残った。少しの間、沈黙があった……


「今日は、心配かけてゴメンなさい。京之助様。雄吉」

 麻人がニッコリと2人に向かって言った。


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