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祠での告白

「わぁ、立派な祠と石碑じゃない」

 彩音が祠を前にして手を合わせ、感激しているようだった。そして、お供え用の花を持ってきていた彩音が、祠に花を供えた。花を供えると、辺りが明るくなったように見える。恭一は、花に興味はないが、花や植物にはある種のエネルギーがあるのだろうと漠然と思った。



「悠、話せる範囲でいいんだ。教えてくれないか? 前世のこと」

 恭一が、悠に優しく言葉をかけた。

「悠ちゃん。私は2人が前世の記憶があることを知っているから大丈夫よ」

 彩音が悠の肩にそっと手を置いた。


「わかりました。今からお話します」


 悠は、祠を見つめゆっくりと話し出した。


「京之助様が亡くなった後、ご長男の歳一様も流行病になり亡くなってしまいました」

 悲しそうな表情の悠を、恭一と彩音は見守った。悠の悲しみを分かっているのか、ビハクが悠の横に寄り添っている。悠はビハクの頭を撫でながら話を続けた……


 

 恭一と悠の前世は、300年程前にさかのぼる。恭一は京之助、悠は雄吉という名であった。事故で家族を失った雄吉を、従兄であった京之助が引き取った。

 京之助と長男が亡くなった後、妻のアサと娘の琴は、アサの実家である神社に戻った。京之助の家は雄吉が引き継ぐことになったが、雄吉は定期的にアサや琴を訪ねていた。

 アサの悲しみは深く、なかなか笑顔を見ることができなかった。そして、アサはよく神社の奥の森の中に赴いていた。雄吉は気になり、どこに行っているのか聞いてみると一緒に行こうと案内された。


 森の中を歩いて行くと、そこには祠があった。アサによると、この祠はこの山を守る神様を祀っていると言う。祠の近くに綺麗な滝があるので見に行こうと誘われた。祠から少し歩いた所に、とても美しい滝があり、水流を眺めていると心が洗われるような気持ちになった。


「この滝や川は、小さな男の子の天狗様が守っているのよ」とアサが言っていたのを覚えている。雄吉には見えないが、アサには天狗様が見えていたのかもしれない。その話をしてるアサに少し笑顔が見え、雄吉は嬉しくなった。アサは、ここに来て辛い心を癒していたのかもしれない。


 それから数年がたった。雄吉は結婚し、妻と息子2人と暮らし幸福だった。 

 琴はアサに似て明るく優しい子に成長した。その後、琴は商人の家に嫁ぎ、子宝にも恵まれ幸せに暮らしたそうだ。


「恭一様。前世で私を拾ってくれたお陰で、私は幸せになれました。本当に感謝しかありません」

「俺の方こそ、前世の家族を見守ってくれてありがとう」


 恭一と悠が感傷に浸っていると、横ですすり泣く声がした。彩音が涙を流している。


「雄吉君は、頑張ったのね。幸せになって良かった」

 そう言い、彩音が悠を抱きしめた。

 

 すると、ビハクが急に歩き出し、振り向いて恭一達を見ている。

「行ってみましょう」

 彩音の言葉に、恭一と悠が頷いた。

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