project:013 逢魔執行部
project:013 逢魔執行部
逢魔執行部――学園内外のお悩み事を解決する「何でも屋」、神舞町の治安を維持する「喧嘩屋」、怪異•妖怪を祓う「退治屋」の側面を持つ。
「はぁ……」
地名は気が重そうにドアノブを握る。ゆっくりと手をひねると、ドアは軋みを上げながら開く。
「おつかれさまでーす」
「おつカレー!」
「おーっす」
ソファに寝転んで、漫画を読む者。机の上に暗器を置き、手入れをする者。窓辺に立ち、背中を向けている者。ここが部室、学校であることを忘れているかのように皆寛いでいた。
「ン、地名ァ、やっと来たか。お前はいつものルートの見回りを頼む」
「はあーい……と、えんら先生。こんにちは」
「はいこんにちは。……お前らゆっくりしてないで、今日のやることしてきなさい」
えー、と、不平不満を言う部員たちをよそに、地名は鞄を置き、掃除用バケツに乱雑に放り込まれていた迦杓を引っ張り出して、部室から出ていった。
「…………ここも異常なし、と」
地名は旧校舎2階の廊下を見渡していた。
昨日のこともある。もし何か残滓でも残っていれば危険だと思ってきてみたが、どうやら大丈夫のようだ。
「さて、と。次の場所次の場所……」
「おいゴラァ!逢魔ァ!出てこいやァ!」
窓の方から汚い叫び声がした。地名が窓から覗くと、グラウンドを牛耳るように、ど真ん中に不良の集団が陣取っていた。
「ありゃ……あの特服、この前懲らしめた……」
「あ゙!てめぇ、イザナぁ!降りてこいヤァ!」
「よくもナメてくれたなァ!ボコボコにしてやらぁ!」
「大勢が1人に向かって言うことですかね…っと、」
窓枠に足をかけ、ふわりと飛び出す。途中、木の幹を蹴り、不良たちの前に着地した。
「大迷惑なんですけど?ここはあんたらの居場所じゃないんで。さっさとかかってきてください」
「ナメやがって…………!おい、やるぞ!」
不良たちが一斉に襲いかかる。地名は受けることなくひらりひらりと躱わし続け、不良たちは見切りきれず、仲間の攻撃に当たって倒れていく。
そうこうしているうちに、不良たちは皆倒れ、地名だけが立っていた。
「はい、おしまい。話は先生たちにお願いね」
「くっそお……」
手を払った地名がその場を去る。と共に入れ違いでえんら先生――と呼ばれた人物が向かってきた。
「腰、やってない?」
と、一言。
緊張が解けたのか、彼女とすれ違った後、地名は腰をさすりながら苦い顔をする。
「痛いですよぉ……」
実は昨日の対怪異の戦いで、腰を痛めていたのだった。
逢魔執行部••••部員4名。顧問1名。学園の治安を色んな意味で守ることを部活動としている。




