project:012 逢魔ヶ刻学園七不思議
project:012 逢魔ヶ刻学園七不思議
七不思議――それは、日常に巣食う異変。人を誘う怪異。或いは、異常を救う抑止力――
ねぇねぇ、こんな噂知ってる?
旧校舎3階、3番目のトイレにいる「花子さん」。
夏の夜だけ竜宮城につながるプール。
緑道公園の奥にある神社に願いを叶えるカンナギ様。
大広間の大鏡は異世界に繋がっている…………
みんな知ってる、不思議な噂、七不思議。次はどんな話が待っているのかしら?
「はあ……なーんで私がトイレ掃除なんか……」
――地名 伊弉•16歳•逢魔ヶ刻学園壱年は組
「頑張りたまえよ地名クン。出なければ、生徒を呪ってしまうかもしれないぞ?」
――七不思議三番「トイレの花子さん」
片方が人間で、片方が幽霊とは思えないくらい、2人の仲は良い。
「それより地名少女、聞いてるかい?あのウワサ!」
「なになに何ですか?また変なイタズラとか考えているんじゃないでしょうね」
「違うんだなぁこれが。――新しい怪異さ」
深夜――誰もいないはずの旧校舎2階に、人影が1人――
「……それで?今度の新しい噂は?」
「窓に自分以外の人影が映るって噂さ。影のような見た目でねえ、まるで廊下を徘徊しているように見えるらしいよ」
「へえ…………それが、ここ……」
地名がライトを窓に向ける。まだ異変はない。
「暗いし寒いしさっさと帰ってお風呂に入りた、い!?」
「!!地名クン!」
窓に一面の人影が現れる。それは顔のない影そのものだが、なぜか、目が合っている。
人影は窓を離れ、一斉に飛び出してきた。地名は迦杓を構え、その人影を斬るように吹き飛ばす!
「右だ!左!正面から来た!あフェイントだ!すまん!」
「あんたちょっとやかましいですよ!?ぶへっ」
地名が教室まで吹き飛ばされ、左腕を掴まれる。そのまま窓の方まで引っ張り上げられるが、それと同時、窓に迫るナニカがいた。
「すまないね。彼女を離してもらうよ」
花子が人魂を投げつけると、凄まじい閃光が起こる。影が揺らぐ。その隙を見逃さず、地名が踏み込む。
――――瞬間、横薙ぎが全てを裂いた。
「窓が……」
「バキバキに割れた……幻覚だね。人影を滅したから、それらが宿っていた媒介の穢れも破壊されたのさ。」
「何はともあれ、これでおしまいですね。」
「ああ、感謝するよ。あれに定まった形はなかった……怪異のなりそこないだろうね」
1人の影が学校を後にする。それを見下ろす幽霊が1匹――――
トイレの花子さん••••有名にして、伝説の幽霊。お馬にいる花子さんは、中性的で紳士的な物言い、立ち振る舞いを見せる。




