project:011 箒/飛行術
project:011 箒/飛行術
どうも、はじめまして。俺はドクラ•マチェフ。魔法術学校の生徒です。今は飛行術の授業をしてます。
「くぉら!ソゥリア!危険な飛行は慎め!部活ならともかく、授業中だぞ!」
はい、怒られてます。ソゥリア•サラサ。俺の友人です。理由はさっきの通り、危険飛行が目に余ったからですね。あいつは飛行術に自信があるからって、1回転したり、垂直に上昇したり下降したり、挙句の果てには空中で箒を手放して箒だけ1回転させて箒を掴むとかいうアホみたいな神業をしてます。あほです。
見ているだけでも肝が冷えるってのに、サラサは何食わぬ顔で地上に降り立ってはまた急上昇する。
「おいサラサぁ、あんまバゼチャン怒らせんなー?」
バゼチャン、てのは飛行術の教師、バゼット•パール先生の愛称。ダボダボ赤ジャージの長髪兄さんで、小柄なのを活かして、飛行競技の選手してたり、飛行部の顧問をしてる。
そんなバゼチャンとサラサはよくギスギスしてて、飛行技術やらタイムやらで競ってんだよな。
「知るかよ、バゼチャンはビビりすぎ。私の飛行技術舐めてる」
今のサラサだって、箒の上に立つっていう危険行動をしているので、もう咎めようがない気がする。
「おい、サラサ!お前これ以上この授業で飛ぶな!部活までお預けだ!」
「だってさ」
「ッチ判断遅いんだよ…………」
やっとお叱りが下った。
【放課後】
「………………っし、今日は調子いいな……タイムも縮んだし」
言うを忘れてたけど、俺も飛行部。サラサ、あいつのおかげで影が薄いけど、俺だってエース張るくらいの実力はある。
「お前今度は低空飛行とかすんなよ……」
「……」
超問題児•サラサは隣で首をコキコキと鳴らしながら自分の番が来るのを待っているんだが、いやー怖い。目つきが人を殺す目をしているんだわ……
「次!サラサ!」
ゆっくりサラサが前に出て、箒に足をかける。ちゃんと箒に座れ!というバゼチャンの怒鳴り声なんか他所にあいつは飛び出した。
箒に立ち上がったまま、地面スレスレを走しっている。それもウネウネと、蛇みてぇに。徐々に高度を上げていって、あっという間に半回転して、また、ぐんぐん高度を上げた。そのまま、あいつはあろうことか、箒から手を離した。
あいつの十八番なんだけど、何度見ても目を塞ぎたくなる。箒だけ、ものすごい速度で2回転させて、戻ってきた箒を掴む。2回転て。新技出してるんじゃねえよ……
「おいコラサラサぁ!危険飛行は事前に言いましょうねって」
「タイム縮んだ?よし」
「いやよし、じゃねえから」
箒••••魔法師、魔法術師が飛行する際に使用する箒は、掃除用のものとは違う。くれぐれも、そういった用途で使わないように。




