project:001 テイル
初投稿。よろしくお願いします。
「はじめまして。」
(⬛︎⬛︎⬛︎が目を開ける。ロッキングチェアに座った少女が本を膝におき、こちらを見据えている。)
「まずは謝罪をしよう。これから君を世界の私利私欲のために使うことを。」
「君に不釣り合いの役目を僕は渡す。それは、この世界の編纂だ。」
「何を言っているのかわからないと思うし、そんな勝手なことをされてもと怒る理由も尤もだ。しかし世界は、僕はそれを望んだ。望んでしまったんだよ。」
「もう君は君が元いた居場所に戻ることができない。そんな状況の君に、適当な肩書きだけをつけて外にほっぽり出す僕の非常さをどうか許しておくれ。」
「……僕たちの世界は多くのものを抱えている。それが大きな軋みとなって今、少しずつ溢れてきている状況なんだ。」
「いつ更地になるか、虚数域になるか、わからない。だからそうなる前に、できるだけ多くのことを、記録しておきたい。」
(⬛︎⬛︎⬛︎は少女を見て、小さく頷く。)
「……ありがとう。そう言ってくれて。」
「ではこれから君に多くのことを託す。君への命令は実数名:異界の記録をとることだ。」
「ここまで話した内容は忘れてしまうけれど、大丈夫。君の役割だけは見失わないはずさ。」
「…………最後に、1つだけ。こんな僕の、僕らの願いを聞き入れた君に、精一杯の感謝として、僕が将来名付けられる名を教えよう。」
「僕はテイル。テイルだ。よろしく。君はもう忘れてしまうけれど。」
テイル・・・・ここではないどこかで椅子に座り本を読んでいる少女。彼女の蔵書数は計り知れない。
虚数域・・・・『ありえない』より『ありえない』ものが集約する場所。普通人は生きれない。