3.悪役令嬢は美少女
エレナはエリーシェルリナの愛称で、お父様のおばあさまがとても強い魔力を持っていて、先を見通す慧眼とその力で我がウィンダーン公爵家を発展させ、国と国民を守る聖女として崇められたエレナ様から取られたものだった。
生まれながらに高い魔力を持つエリーシェルリナもエレナ様のように素晴らしい聖女になれるよう、と付けられたものだった。
エレナはとても嬉しくて、鼻が高くて皆に自慢して回った。
私はそんなエレナが可愛らしくて大好きだったから、エレナに生まれ変われたのだとしたらとても嬉しい。
エレナの苦しみも、悲しみも全部知ってるから私が幸せになるようにしてあげるからね。
「エリーシェルリナ様、もう行く時間ですよ」
「はっ!」
いろいろ考えている間に、いつのまにかニナに全ての用意がされておりドレスを着せられていた。
薄い緑のドレスに、肩は出てるけど袖がありシフォン素材で腕が透けて見えてる。
スカートの裾はボリュームがありふわふわして可愛い。
エリーシェルリナのホットカフェモカのような暖かい色のウェーブがかかったロングヘアに似合うドレスだった。
鏡の前に立ち思わず感嘆のため息を漏らす。
---可愛すぎる。
前髪は眉の上で切り揃えられており、いわゆるパッツン前髪。
右側だけ姫カットにされた横髪。
目はエメラルドを連想させるグリーンの大きい瞳にそれを縁取る長いまつげ。
吊り目だけど、眉毛は垂れ眉でそれがまたアンバランスで可愛い。
鼻もスーっと高く、口は幅が広く唇はポテっとしており血色が良い。
めちゃくちゃ美人なのだ。
しかし、今はまだ10歳くらいに見えて、可愛いの方が大きいのだ。
「ねえ、ニナ。今日はどこに行くんだっけ?」
鏡の前でポーズを取ったりしながら、後ろのニナに聞くと、婚約者に会いに行く日だ、と言われた。
「婚約者ってリュードレカ王子?そうね、会いに行きましょ!」
「エリーシェルリナ様!昨日はあんなに嫌がっていらっしゃったのに!!」
せっかくこんなに可愛くしてもらったのだから、とすぐに行こうと促すとニナがびっくりした。
どうやら昨日のエレナは前髪を間違えて切ってしまい、こんな前髪でリュー様に会えませんわー!!と大泣きして嫌がったらしい。