2.思い出す悪役令嬢
-この子はメイドのニナ。
ニナは「私」より2歳年下なのに、しっかりしていていつも冷静で頼りになる存在だ。
何か困ってる時は言う前に、気づいてくれる気配りのできるメイドなのだ。
そして、ニナを見て思い出した。
私、エリーシェルリナのこと。
とは言っても、過去を思い出したわけではなく昨日食べたものも思い出せない。
でもこれは、西の聖女伝説のサイドストーリー悪役令嬢エレナになってると言うことを体で感じ取った。
本能、じゃないけど感覚っていうのかしら?
体の中を巡るこの魔力のようなオーラもだんだん馴染んできている。
私が、私であるというのを証明している。
いつからそうだったのかわからないけど、私はエリーシェルリナなのだと思い出した、ようだった。
...でもだとしたらサイドストーリーで読んだ悪役令嬢エレナは気のせいだった?
いや、それは違うわ。
「憑依」したの?生まれ変わったの?
いわゆる異世界転生?
ただ、前のことは全く思い出せない。
私が誰だったのか、どこで何をしていたのか思い出せないけど、この小説が大好きで何回も何回も読んだことは覚えているわ。
だからエレナの本名がエリーシェルリナだったこと、メイドの名前がニナだったことも覚えているし小説に出てきた通りの部屋だったからびっくりした。