俺の書き損じラブレターを弟が紙飛行機にして飛ばしたら、好きな子に拾われてしまった
中2の俺、悠太は、隣に住む幼馴染みの沙織のことが好きだった。しかし、中学に進学してからはお互い同性の友達とばかりつるむようになり、話す機会が減った。
告白に失敗したら気心知れた友達関係すらなくなる。それが怖くて、今まで気持ちを伝えられずにいた。
「ううーん。本当は小3のときには好きだった。でもお前と会うとうまく言えなくて…、だめだ。こんなヘタレなこと伝えられん」
ノートを破いて投げる。対面して言えないからラブレターをと考えたが、文章が上手くまとまらず、何枚もの書き損じを生んでいた。
俺の悩みをよそに、幼稚園児の弟・航太は隣でせっせと折り紙をしている。
最近親父から紙飛行機の折り方を習って、どこまで飛ばせるか毎週末親父とバトルしているのだ。
あと何年かしたらオヤジうぜーって言うようになるから、素直にパパっ子なのは今だけだ。そっとしておこう。と思っていたら。
航太の持っている紙飛行機は、俺の書き損じラブレターだった。
「ひえっ! おい、やめろ航太!」
止めようとした時には遅かった。航太が窓から勢いよく放った紙飛行機は隣家……沙織の家の庭へと飛んでいく。
「兄ちゃん、すごく飛んだよ! さいこうきろく!」
「何してくれてんだ!」
俺は階段を駆け下りてサンダルをつっかけ、必死に紙飛行機を探す。
しかし、紙飛行機は見つからない。
ちょうど沙織が庭に出てきて拾っていた。
おワタ。
「悠斗、どうしたの?」
「……あ、えーと、それ返してくんね? ちょっと手違いで」
「何その慌てぶり。もしかして私に見せられたいことでも書いてあるの?」
これ絶対明日、クラスのみんなにからかわれるやつ。沙織の顔を見れない。
沙織は内容を読み終えると一言。
「悠斗、こういうのは直接言ってほしいな」
「は!?」
んんん。もしかしてもしかするのか。両思い??
期待していいのか? よし、俺も男だ。今言わずにいつ言うんだ。
「俺、沙織のこと好きなんだ」
「へへへ。ありがと。私もだよ」
「なんだよ。俺に言わせといてはっきり言わないなんてズリィぞ」
沙織がはにかみながら答える。
「私も好きだよ」
「いやったああああ!」
グッジョブ弟!
弟が書き損じラブレターを紙飛行機にしてぶん投げてくれたことがきっかけで、好きな子と両思い確定したのだった。