第94話 素材とプレゼント
「レッド、グリーン、ブルー、ホワイト、ブラック……いやー、壮観ですな」
「下級ドラゴンは全種あるぞ。こっちはワイバーン種、むこうはキメラやマンティコア……ちと鍛冶で拝借したがそれでもこの数は異常だぞ。とりあえず羽か牙でも持って帰るか?」
「羽はちょっと無理があるな……牙と鱗を10枚ずつ持って帰るかー。小さいサイズならリュックに入るっしょ」
トミーの倉庫はあまりにもでかかった。
しかもその倉庫のほとんどを素材が埋め尽くしていた。
なお、その素材の7割は俺が倒したモンスターとのこと。
俺、そんなに倒してたん?……
ドラゴンの牙と鱗を集めてバッグに入れる。
鱗だけ詰めてパンパンになったけど、これ担げるか?
鱗一枚の大きさが盾と同じ、1.2メートルぐらいあるし、重さも5キロぐらいあるからな。
「ん?もうバッグが一杯なのか?ほれ、あそこに『アイテムバッグ』があるから持ってけ」
「……ちょい待て、今なんて言った?『アイテムバッグ』ってあの?マジで?」
「……お前が宝箱から拾ったんじゃろ。もったいないから拾っておいたぞ。そこにある小サイズでも余裕で素材が入るからそれ全部詰めてしまえ」
『アイテムバッグ』っていったらファンタジーの定番アイテム。
時間停止だから生物が腐らないのはもちろん、どんな大きさのものもスッと入るし重さも変わらない超便利アイテムだ。
今渡されたのはウエストポーチサイズ。
これでドラゴンがまるごと一匹収納できるサイズってチートだよね。
確かアメリカのオークションでウエストポーチサイズで1000億円で落札されてたよな……
また福崎さんに怒られそうだな。
トミー曰く、性能だけならもっとするんじゃないかって。
……これも神話のアイテムでは?
……持ち歩きたくねぇ
「あとは……そうそう、お前さんに武器を渡すか」
「は?俺は武器使えないぞ?握力で握りつぶすし、そもそも拳のほうが強いし」
「お前さんでも使えるやつだ。あらたが素材を持ち帰れるようになったら渡そうと長年作っておったんじゃぞ?感謝せい」
そういって奥から布に包まれたものを取り出した。
トミーからプレゼントとか初めてだし、俺のために作ってくれたものなんて感動だよ
「儂が作った特大剣、名を『草千里』じゃ」
長さ3メートルを越す鉄の塊がそこにあった。
「……いや、剣じゃねえよ!鉄板じゃねえか!」
「何を言う。アダマンタイトで作られた刀身にオリハルコンの刃をつけた正真正銘の剣じゃい!オプションで炎魔法をこの中央の石に叩き込むと肉が焼けるだけじゃ!温度調節は魔力の量でできるぞ?」
「それが鉄板だっつってんだよ!」
あーもう、期待して損した……




