第76話 嫌な予感
「……サンダースラッシュ」
コトリさんが唱えると目の前にいたロックゴレムの群れがドロップアイテムの山に変わる。
「……もう自分達いらないよね?」
「ハジメくん、それは言わない」
「流石コトリさんっすねー。ロックゴレムって群れだと深層クラスって聞いたことあるっすけど」
ロックゴレムはゴーレム系モンスターの中でも素早く移動できる珍しい種類。
頭にあるコアを破壊しないと回りの地面から身体を再構築するので中々厄介なやつだったりする。
……さらっと倒せる相手じゃないんだけどなー。
「ぶい」
:うぉー(尊死)
:浄化されるー
:コトリ最強!コトリ最強!
:サンダースラッシュ使えるだけでスゲーのにキッチリコアに当ててるっておっさんレベルじゃね?
:それはない
:ないな
:ないない
「おい、コメント欄。なぜそこで否定する。魔法に関してはコトリさんの方が上だって。多分」
「しれっと多分ってつけたっすね……」
「ん。そうであってほしい。けど前見たマンティコアをあんな風に倒せない」
:マンティコアの配信見たけど、あれはおかしいやろ
:なんで尻尾だけ無傷で瞬殺してるんですかね……
:あれはバケモン
:CG疑う
:おっさんは規格外(定期)
やめろよー……
規格外な自覚はあるけどまだ隠しておきたいやつなんだよー……
「ほらほら、ドロップ品集めたら次に行こうか」
ロックゴレムのドロップ品を集めていると、不意に嫌な予感を感じた。
この感じ、今までの経験上なにか起きる。
マンティコアやオーガと戦った時とは段違いだ。
「……まさか、深層のモンスターが?」
深層のモンスターが上がってくるわけはないが白川ダンジョンのドラゴンゾンビの例もある。
そういえばドラゴンゾンビを手負いにした謎のモンスターの調査依頼があったな……
あ、やっべ……完全に忘れてた……




