第358話 ロクが来て、バーベキューが始まる!
「きゃー!」
バーベキューの準備をしていると家の方から悲鳴が。
走って向かうと、子ども部屋の前に黒い扉が。
そこからにゅっとでかい角を持った鹿が顔を覗かせている。
「……いててて、やっぱJAPANの家は作りが狭いよね……あ、あーさんじゃーん。この前ぶりー」
「ロク、まずは人型になってから話そうや……」
いきなり壁に傷ついたんだけどー……
人型になる時ぐらい角のサイズ気にしろー?
「はいはーい。ちょっとまっててねー」
鹿の角が輝いたと思うと鹿が人型に変わっていく。
そこに居たのは髪の長い女性。
この前ランファのとこに来てたロクだ。
「何だよロク、来たのかよ」
「そだよー!やっと休みになったからねー。しかもランファたちとバーベキューするって?行くしかないよね!スパイスある?」
「……現金なヤツだな。スパイスならそこに未開封あるから。で、ランファ達は?一緒に来るんじゃないのか?」
「ランファとティム君は後から来るってさー。仕込みの準備とか何とかあるって。とりあえず野菜持っていけって言われたからー。はい、これ」
ドンっと箱で渡されたものを持つ。
……普通に20キロ近くあるな。
箱の中身を開けてみるとキャベツ、トウモロコシ、カボチャにじゃがいも、玉ねぎとバーベキューならコレ!という野菜が沢山入っていた。
「えーっと、プラチナリーフキャベツにジェネラルポテト。マシンガンコーンにジャックオーパンプキン!クラウンオニオンも火を通すと甘くて美味しいやつだね!」
「ひぇー。これダンジョン産だよな?天然物って中々ないよな」
「確かフランスのダンジョンに生えてるやつだよ。あそこは肥沃な土地だからモンスターが弱い代わりにいい植物が育つんだよ。私もよく食べに行くし」
ダンジョン農家が作る野菜より天然のものの方が美味しいのは万国共通らしい。
ヨーロッパはダンジョン探索が盛んだから食材系、鉱石系、モンスター系でダンジョンを分けて管理してるらしい。
食にうるさいフランスのダンジョンで取れた野菜なら味も抜群だよね!
下処理もしてあるのですぐ焼くだけってことらしいので早速庭に運びましょ。
「スパイス、スパイス〜。この前のほりこし?ってまだあるの?」
「ありはするけど、ほかにも用意してるぞ。マシマシマムとか」
「やったね!全部味見しよ!」
……血圧上がっても知らんぞ。
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火起こしがスムーズに出来たのもあるけど最初に焼き始めたお肉がいい香りを出てきた頃、ゆりからつつかれた。
「あらた!お肉もいい感じに焼けてきたから挨拶挨拶!」
「え……マジ?俺?」
「そりゃ家主だもん。よろしく」
「こういうの慣れてないんだよねー……ゴホン、今日はお集まりいただき恐縮です。お肉も魚も、カニも、野菜もしっかり準備させていただいています!しっかり食べて飲んで楽しみましょう!では、カンパーイ!」
「「「「「カンパーイ!!!!」」」」」




