第351話 親父からの電話
『おう、暇や』
「なんや?暇やなかぞ?明日の支度しよる」
『なーんや、バーベキューは肉焼くだけやろ。そぎゃん準備はなかろーもん』
「味付けはせやんじゃろーもん。肉だけじゃ飽きるったい」
ランファ達からの電話を切ったら次の電話が。
通知を見ると相手は俺の親父から。
親父、明日のバーベキューに呼んだけど新台入替とか言ってこないって言ってたよな?
「明日は来んって言っとたど?なんや、くっとかい?」
『んにゃ、来ん。明日は必殺請負人の新台やけんな。知り合いと打ちに行くった』
「はぁー……これだからパチンカスっておばさんにまーた言われるったい。ちったぁ歳考えろー?」
『はん!お前のダンジョンに入るのを黙認しとったんやけん、おるの趣味に口出しすんな!で、た。お前んとこの庭、広かとや』
「庭?そりゃ明日バーベキューするんやから広かに決まっとろうもん。30人ぐらいは余裕ではいったい」
『ほーかほーか。フミヨが明日行けんてだけん、今度遊びに行くってた。マチアキとテマリんとこも呼んで行くって』
文代おばさんところが!
夏は秋スイカの準備で忙しいから今回来ないって言ってたからそれか。
文代おばさんは親父の妹。
パチンコ大好きな親父と違ってスイカ農家に嫁いで町内一の利益を出してる大農家になった人。
今は子どもの町秋兄さん、手毬姉さんに農園を譲ってさらに事業を拡大してるんだっけ。
「なーん。そういうこと。なら余裕あるけん大丈夫って言っとけー」
『はいよー。フミヨにゃそう伝えとく。あと、たまには金かせー。老後の楽しみを満喫させろー』
「はー?年金もしっかり貰っとって預金もたっぷりあったども?飯は奢ってもええけど金は貸さんぞ」
『ちっ!あ、ばーちゃんが曾孫と見せろってうるさかけん、はよ帰ってこいよ』
ばーちゃん、もう歳が歳だからなー。
今年で93歳、地元でも最長老になりかけてるしな。
人が来ると無理してもてなそうてするから家でゆっくりしてもらう方が助かるよ。
そういえば、明日のバーベキュー、駐車場足りるよな?
……ちょっと相談しておこうかな。




