第345話 死神の血もといエリクサーの元
『これはエンペラーリッチの中でも数少ない『冥王』の称号を持つやつだけが持つ赤い石ですね。『死神の血』『冥王の石』とか言われてますね』
思ってたより禍々しいブツだったよ。
ネームドモンスターってのがいるって話は聞いていたけど、あのリッチがそれとは……
『たしか持ってるだけで闇魔法の威力アップ、神聖魔法効果半減の効果が得られるはずですね。あとエリクサーの材料にもなります』
「へー、エリクサーの材料に!禍々しくなりそうだけど大丈夫?それ」
『エリクサーをなんだと思ってるんですか。エンペラーリッチも元々は魔法を極めようとする魔法使いが死んでも研究してるやつの成れの果てですよ。魔法薬の効果を数倍にするぐらい余裕でできる魔力を持ってます』
な、なるほどね。
ティム君曰く、エリクサーにしなくても下級ポーションを樽いっぱいに貯めて小指の爪サイズの『死神の血』を入れておくだけで上級ポーションが出来るそうだ。
マジかー。
これ、こぶしサイズなんだけど……
極上ポーションぐらい出来るんじゃない?
「上級ポーションが作れるようになれば探索の幅が広がりますね……それは各国が欲しがるはずだ」
「ですね……これ、日本政府買い取りますかね?」
「ギルドとしては喉から手が出るほど欲しいですね。ポーションはいくらあっても足りないですし」
『正直今そっちにいるなら自分も買い取りたいですねー。エリクサー、作ってみたいですし』
「ティム君も欲しいやつなのか……どうしよう、真面目に頭を抱えるやつじゃないですか……」
この前渡しておけばよかったー……
その後、ティム君と色々情報交換を行ってから通話を切って長嶺さんと話し合った。
とりあえずイギリスには抗議文を出すこと、『死神の血』は日本ギルドもとい日本国が買い取ることが決まった。
とうとう国が動くことになるよ!
すごい!
買取金額はまた後日相談ということで、一旦帰宅。
アイテムバッグの奥にしまいました。
ギルドの金庫だとまた諜報員が来て持っていかれるかもしれないからね。
俺の方が安全、ということらしい。
……金庫より安全ってどういうこと?
「あ、そうそう。福崎が呼んでましたよ。部屋用意してあるのでこの後そっちに行ってください」
「えぇ……帰っちゃダメですか?」
「諦めてください。私でもあれは止められないですから」
「そこは支部長権限でどーにかならんですか!?」
「なら少しは自重してくださいね!私も福崎も最近ポーション飲んでお腹を整えることが増えてきたんですから!」
すみません!




