第339話 保部の魔法
「とりあえず、こいつらの記憶を消して追い払おうか。保部、よろしく」
「あいよぉー。『メモリーリセット』とりあえず直近1ヶ月分の記憶を消して、休暇で日本に来ていたって設定に上書きしておくかぁ」
保部が魔法を唱えると魔法陣が倒れている男たちの額に浮かび上がる。
メモリーリセットは記憶操作を行う魔法。
多分世の中に知っている人はいないと思う、レッドキャップが使っている魔法。
この魔法に何回助けて貰ったことか……
主にゴン太が暴れたりした時が大変だった……
「……よぉし、魔法完了。ロープ切っていいよぉ。あとは勝手に車に乗って帰るから」
「おっけー、保部ありがとう!」
「さすがいそっち!そこにシビれる!」
「ありがとな!保部!……あ、そうだ。あーさん、バイクとか車の修理頼むわ」
……やっぱり壊してたんかい!
イギリスの諜報部の方々にはご帰宅いただいてこの騒動はおしまい。
「マジで助かったわー。俺1人だとどうしたもんか」
「多分問題なかっただろ」
「そもそもあーさんに手を出したら国際問題なんてもんじゃなさそうだしなぁ」
「手加減せずに殺るだろ」
「わかるー」
「たしかにー」
……そこまで言います?
しかもゆりもそっち側かよ!
悲しみ……
けど保部、ゴン太、ミミ、リリには助かったよー。
真面目に俺だけだったらどうなってたか。
「とりあえず今日は終わりだなー『迷宮解放』終了!」
俺が宣言するとぱあっと光が飛び出して旅館の周りに飛び散る。
「うーん、姿が変わるってやっぱ慣れないねぇ」
「最近は人の姿が多かったから逆に力のセーブができないよ」
ミミとリリの角がなくなっていく。
「ふぃー。元の大きさになったな!」
「わ!ゴン太!その腰のやつ浴衣だったのかよぉ!ボロボロじゃないか!後で弁償になるぞぉ!」
ゴン太、保部も人の姿に戻っていく。
……ゴン太は後で説教だな。
ミミさんの。




