第328話 保部、捌く
アイテムバッグから小ぶりのカツオを取りだして鉄板の上に置く。
小ぶり、と言っても3メートルは超えてるんだけどね。
「よーし、それじゃ料理始めますかぁ……これ、配信してるのぉ?」
「もちもちのろん」
「よ!料理人!映えてるよ!包丁綺麗に磨かれてる!」
「……その掛け声なんだよぉ」
:ちっさい人が捌くのか
:カツオと比べても小さい〈1000円〉
:でかいヤツと並ぶとさらに小さい
:どーやって捌くんだ?包丁あるのか?
:まな板持ってきてたし包丁あるんじゃね?
:バーニングカツオとか高級料亭でも中々出てこないよな……
:漬けにするなら相当大変そう
「はぁ……気まずいぃ……それじゃ行くぞぉー。ゴン太そこ押さえてて」
「ほいさ」
ズバッ!
ゴトンッ!
「よっと!ハハッ5枚おろしってやつか?この切り身だけで何キロあるんだよ!」
「多分25キロ?いちばん脂が乗ってる部位だしねぇ。ほら、次切るからこっちにおいてまた押さえる」
:は?
:へぇ?
:何した?
:包丁もってないのに身が切れた……
:スキル?
:おっさんの知り合いに普通の人がいる訳がなかったわ……
:ウィンドカッターか?にしても詠唱してないよな?!
:何事もなく次の切り身を作っててワロタwww
あ、しまった。
保部のスキルについて話してなかった。
けど、スキルって基本秘密にすることが多いから説明なくてもいいか。
俺は隠さず喋ってるけどね!
ユニークスキルだから大丈夫大丈夫……多分。
「ほい、これで最後かなぁ?」
「おぉー!骨以外綺麗に取れたな!ザ5枚おろし」
「流石保部!そこにシビれる!憧れる!」
「フヘヘ……」
保部が照れくさそうに隠れる。
……うん、おっさんが照れるのはなんかくるな。
俺も気をつけよう。
:あのサイズを5分で?!
:バケモンやん
:築地のマグロでも40分はかかるぞ!!
:スキルありきとはいえここまで早いんか
:料亭からのオファー待ったナシ
:保部さんの料理楽しみ!
:これから料理なんだよな……
:どんな料理ができるんや!




