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第312話 肉のおっさん

「サヒーリさんは俺が長年Eランクだったのご存知ですか?」

「指名依頼の際に伺っています。確かニホンだとEランクは素材を持ち帰れないんだとか」

「ですです。ただ、ダンジョン内で消費する分には問題は無かったんですよ」


単純な話、Eランクでもエリクサーとか禁忌のアイテムとか拾ってその場で使ったりはオッケーなんだよね。

じゃないと俺深淵なんて行かないからね!


ちなみにEランクの扱いって各国でバラバラらしい。

ナウロはEランクでも上層1区で取れた素材は持ち帰っていいらしい。

なにそれ裏山……


「ナウロが羨ましいことは一旦置いておいて、俺肉の執念だけは強いと思っているんですよ」

「分かりますよ。今日のやつでしっかりと。……ってまさか!」

「今日の天草帝もそうなんですけどモンスターってデカいじゃないですかー。下層とかで倒して上層のセーフゾーンで料理して食べて満足したら帰る。余った肉はその場にいた探索者にプレゼント、ってことをよくやってたんですよ。だから『肉のおっさん』」


そう、ミノタウロスぐらいならひとりで食べれるんだけど、天草帝やドラゴンの肉になるとどうしてもひとりじゃ食べれなくて……

ちょうど土曜部活終わりの高校生とかがいたので余った食材を渡してたんだよねー。

その場で焼いて食べさせてたこともあったねー。


「てことで、肉をあげるおっさん『肉のおっさん』が誕生したってわけです」

「……なんというか、予想通りというかなんというか……その肉を渡してた高校生って未だに連絡取り合ってるんですか?」

「いや?名前も知らんですなー。正直余った肉捨てるのもったいないから渡してただけですし」


元気にしてればいいけど、TmitterもKINEも交換してないから情報がないんだよね。

代々高校生に伝わってるってことは元気にしてるんだろうね。


『お肉のおっさん』については以上!

SSSランクに上がってから同じように余った肉を渡すことが無くなったんだよねー。

全部持ち帰れるようになったから今じゃ家で食べてるし。

とりあえず説得が上手くいったようでさらに深く突っ込まれることは無かった。

ま、ツッコミ要素もないからね。


地上に戻ってから今回は買取に出さずにそれぞれ持ちかえることに決定した。

あ、鶏ガラは残ってたから渡したよ。

骨あっても中々でかい寸胴鍋ないからねー。

骨だけでも400万で買取って貰えたよ!

流石天下の天草帝ですな。

ちなみにイレギュラーだったリーダー格については喉の黄色い皮の部分に未知の器官があったそうでギルドで研究するらしく、さらに高額で買い取るそう。


やっぱりイレギュラーって強いんだなー。

次は吹き飛ばされないようにしないと!





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