第299話 呪術師の名は
「そもそもその呪いをかけた呪術師?は捕まったんですか?そいつから解除の方法聞けば済むと思うんですが」
「それは試しました。ナウロの正規軍と暗部を使用して挑みましたが……全て返り討ちにあいました」
暗部ってスパイ映画とかで出てくるような集団だって。
メインの仕事はナウロ国内の情報を王宮にいち早く伝えることと、各国に出向いて情報収集をしている組織らしい。
……絶対黒い仕事してるよね。
ジェシカさんとかまさに暗部!って感じがしてたし、そういう組織にはお世話になりたくないですね!
いやマジで……
正規軍30人、暗部20人で構成されたチームで呪術師に挑んだそうだけど生き残ったのは8人、それも四肢がもがれてたり体の半分がモンスターに変化していたりと無事ではすまなかったらしい。
「チームの中にはナウロ最強とも呼び声高い将軍も参加していましたが、亡き者にされました……その後呪術師より父上の呪いを解く代わりに『大樹龍の瞳』を渡すよう要求してきました。もちろん要求は拒否しましたが日に日に民にモンスター化するものが出てきて……」
呪術師の要求を拒否してすぐは特に問題はなかった。
今年に入り事件が起きた。
最初は魔水晶の鉱山で作業員が行方不明になり、坑道にモンスターが増えてきているとの通報から始まった。
その後作業員が住む宿でオークが出現、軍が出動すると更に作業員が変化する場に遭遇した。
「オークは討伐され、その場は治まりました。討伐した際にオークの腹の中から呪術師の呪印が刻まれた紙と脅迫文が出てきました……要求を飲まなければ次は地方の民をゴブリンに変えるぞ、と」
「それで要求を飲むしかなくなってきていると……その呪術師って何者なんですか?」
「名はオーコ、オーコ・シミック・ウロ。古代、ナウロとの間で争い、敗北した国の末裔です」




