第195話 え?家ですか?
「え?家ですか?」
「ですです。前家を探してるってお伺いしてたかと思いまして」
「まぁ確かに探してはいますけど……」
今日は飯配信をしようと白川ダンジョンに来てる。
4月に入り、繁忙期が一旦落ち着いたし、久しぶりのダンジョン配信をしようと思っていたところだった。
来週にはサヒーリ王女が来日されるし、自由に出来るのも今週が最後かなー。
ちなみに上の子、ちりちゃんが小学校に入学しました。
まさか徹夜してエナドリ飲みながら入学式に出るとは思わなかったよ……
深夜の障害対応、データメンテナンスマジ辛い。
そんなこんなで花金の今日は肉を食べる。
奥さんからも冷凍してる肉が少なくなってきたから捕ってきて、との連絡が来てたしね。
俺が素材持ち帰れるようになってから食費が浮くので喜んで貰えてる。
ヨキヨキ。
受付で登録していると長嶺さんに声をかけられて応接室に通された。
何事かと思ったら最初の言葉に繋がります。
マイホーム、前から欲しかったんだよね。
本当は実家にたてる予定だったけど、ちりちゃんが小学校に上がったし今住んでる地区に家たてたいんだよね。
「ギルドは最近探索者向けの物件も取り扱うようになりまして。その中で田島さんに良さそうな物件を紹介させていただきたく」
「それはありがたいですが……家となるとどこの地区になります?出来れば上の子が小学校に上がったので引っ越しは出来るだけ避けたいんですけど」
「田島さんって匠魔中央小学校の近くでしたよね?」
「ですです。学校から歩いて20分ぐらいですかね?子どもの足でも40分ぐらいで通学できますね」
「だったらアリですね。ある家が売りに出されてて。田島さんにおすすめだと思って持ってきました」
「なんと!ありがとうございます!」
「いえいえ、田島さんのお陰で熊本ギルドも盛り上がってるんですから。新規で登録してくれる人も増えてきてるし、素材収集も九州でトップクラスになりましたよ」
そういえば最近新しい装備を身に着けた人が増えたなーと思ってたけど若手が増えてきてるんだね。
探索者が増えるとアイテムが流通するし、稼ぎも増えるしWin-Winだよね。
長嶺さんが声をかけると奥から男性の方が来られた。
名前は南阿蘇真―みなみあそまこと―さん。ギルド専属の不動産屋だそう。
南阿蘇さんは持ってきたバッグから紙の資料を取り出して渡してくれた。
「今回用意したのはこちらの3件ですね。ちょっと癖があると言うか、なんと言うか……」
「癖ですか……もしかして事故物件?」
「いや、事故物件ではないです。ただ色々厄介というかなんと言うか……お時間があれば今から内覧に行ってみますか?物件についても色々説明が必要なものもありますし」
内覧かー、こういうのは妻も一緒にいた方がいいよね。
ゆりに連絡すると今日はオフなので今から子どもをつれて白川まで来るって。
配信の予定だったけど家族第一なので今日はなし!
さて、どんな家なんだろうねー。
わくわく!




