第168話 俺の妻です
「初めまして、花畑マコといいます」
「初めまして、田島です。よろしくお願いします」
お互いに頭を下げて名刺交換。
今日は花畑さんの奥さんのために福岡のダンジョンに潜る日だ。
「田島さん、今日はありがとうございます。そちらの方は」
「あ、紹介が遅れました。私の妻の」
「た、田島百合です。本日はよろしくお願いします!」
今日は妻もつれてダンジョンに入ります。
子どもたちはアニーの家に預けてきた。
俺の大学の友人アニー。
福岡に住んでいるんだけど、家にパーティーゲームたくさんあるから1日ぐらいなら大丈夫でしょ。
多分。
妻―ゆり―がダンジョンに潜るのは子どもが生まれてから初めてかな?
仕事と子育てと探索者のトリプルは無理!って言われて断られたもんね。
配信でダンジョン見るのが好きだってことで俺のチャンネルをたまに見てるからまた誘いたいと思ってたんだよね。
学生時代は一緒に潜ったりしたけど楽しかったから。
4人集まったので一旦カフェで雑談。マコさんは元アイドルだったそうで声が特徴的、旦那さんの花畑さん―あんじさん―ともライブハウスで出会ったそう。
ちなみにダンジョン3人娘のミクさんの叔母にあたるんだって。
世間って狭い。
「あの頃はまだダンジョンの脅威が浸透してなかった時期ですから博多のダンジョン内で歌って踊ってました。探索もテレビ取材に連れて行ってもらってた位ですけど」
「マコのランクはB。アイドルを卒業してから結婚して2人でダンジョン配信していたので」
「2人でダンジョンに潜るのは楽しそうですね。ランクもしっかり上げられてて」
あんじさんとコーヒーを飲む。
ゆりとマコさんは女子トーク中。
「子どもたちがもう少し大人になったらまたあらたとダンジョンに入りたいな」
「子どもの世話って大変ですよね。あ、そうだ!ゆりさん。今度ダンジョン潜りません?私の友人も一緒に。女子会的な感じで!」
「え、えぇ!女子会ですか?!わ、私人見知りがひどくて……」
「大丈夫ですって!友人も人見知りがひどいのでおあいこです」
「……そういうものですかね?人見知りって……」
……うん、ゆりが押されてる気もしないけど概ね打ち解けてそうだ。




