第167話 裏技
「……あ、そうだ。その手があった」
「何かありました田島さん?」
花畑さんが不思議そうに尋ねてくる。
「奥さんを治す方法がありそうです」
「ほ、ほんとですか?!違法なのは止めてくださいね」
「大丈夫です。この方法なら問題ないはずです。ただ奥さんにダンジョンに入ってもらう必要があります」
法律ではアイテムの持ち出しについては厳格に決められている。
持ち出す際はギルドに申請したり、売買についてもいろいろ……
だが、ダンジョン内でのアイテムの譲渡及び使用は規制されていない。
探索者の命を守るためにポーションの受け渡しや装備品の交換などを目的に免除されているからだ。
イメージとしてはダンジョン外でポーションをまとめ買いして、潜った後にセーフゾーンとかでメンバーに配るのはセーフ的な。
今回は俺が治療薬をもっていないので治療薬を取りに行くところからのスタートになるけどダンジョン内ならセーフだ。
裏技っぽいけど、そこはスルーしていただいて……
治療薬を取ってきてから花畑さんとダンジョンに入るのも手だけど、それだと一度持ち出さないといけないのでギルドに報告しないといけないので治療した後にゴタゴタありそうだからね……
「ちょっと奥さんに無理をさせることになるかと思いますけど、いかがですか?」
「……ちょっと検討させてもらいます。すみません」
「いえいえ、こっちこそ家庭内の問題かと思うので首を突っ込んでしまって」
「では、今後の予定なんですけど」
「コラボとかの話でしたっけ。やっぱ大手さんとやるのがいいですかねー」
そんなこんなでその日の打ち合わせは終了。
後日、花畑さんの奥さんから電話があった。
是非挑戦したい、とのことで少し涙ぐまれていた。
体調を考慮して福岡のダンジョンに入ること、無理と感じたらすぐに地上に戻ること2つを決めた。
福岡のダンジョンに入るならギルドに一言言っといた方がいいかな?
福崎さんに連絡しておくかな。
あとうちの奥さんにまた福岡に行くって伝えないとね。
今回は仕事の関係もあって一人でゆっくり熊本に残ってたから次は家族全員で行かないとね。
一応収入はあるからね。
新幹線とか使いやすくなったよ、うん。
ネット予約と1ヶ月前予約は忘れないけどね。