第165話 ナウロ王国からの指名依頼
「さて、本題に入りますか。今日お呼びしたのは指名依頼が来たからです」
「指名依頼?」
指名依頼とは探索者個人を指定して依頼する案件。
通常、素材などが必要になった場合は期間を決めてギルドを通して全国の探索者にまとめて依頼する。
指名依頼をする場合は難易度が高いことが多くそうだ。
……面倒なことになりそうだなー。
「……何かフラグが立った気がするんですけど詳細を伺っても?」
「モンスターの討伐とか素材集めじゃないですよ。まぁ面倒なのは変わりませんが……」
「……お断りは?」
「だめです」
にこやかに断られました。
デスヨネー……
~~~~~
「……なるほど、引率兼護衛ですか」
俺への指名依頼は要人警護。
南太平洋の島国『ナウロ王国』の第三王女サヒーリ・カラデシュ・モックス様の留学に伴う護衛とのこと。
サヒーリ様は16歳ながら探索者として活躍されている方で、ランクもSランク。
日本へは約1年間留学に来るらしく、平日はナウロと日本のSPの方がそれぞれ護衛されるとのことで大丈夫らしい。
「ただ王女様は日本のダンジョンに大いに興味があられるそうでおそらくダンジョンに潜られるはずです」
「……そこで俺って訳ですか。他の方々は?」
「国、ギルドとして福岡や関西の方を紹介しましたよ。流石に探索者専門ではない田島さんはご遠慮願いたかったのですが、ご指名だったので無下には出来ず……」
何でも留学先も関東の高校から熊本の高校に変えるほどだったそう。
……俺、そんなに強くないですよ。
「指名依頼でも頼られるのは嬉しいので、引き受けます」
「ありがとうございます!いやー、最初はホームステイを希望されてましたからね。そこは無理だと突っぱねたので護衛依頼だけでも受けて貰えたらと思っていたので」
「ホームステイ!?流石にうちにはあげられませんよ!家賃5万のアパートなのに」
2LDK駐車場代込みで58000円なのに!
「家賃とかは、とくに問題はないですけど護衛方法や周辺への影響を考えると住宅街は、避けたいので。滞在先はこちらで用意してますので大丈夫です」
「ほっ……じゃダンジョンに入る際に護衛する形で」
「期間は5月から、学業もあるので月2回程度ダンジョンに入られるんじゃないかとのことでしたのでそのときはよろしくお願いします」
長嶺さんとの打ち合わせが終って帰宅。
いやー、王女様の護衛依頼が来るとは……出世したなー俺。
依頼報酬は月500万プラス出来高払いとのことで高額ですよ。
月の報酬だけで俺の年収超えてる……
とりあえず上の子の机と教科書代は賄えますな!
あとナウロ王国について調べとかないとね!
まだ時間はあるから大丈夫だよね?