第157話 ライヲン
「今度からお世話になります。田島と申します。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。ライヲンの花畑です」
今日は熊本駅近くの喫茶店で待ち合わせ。
来られたのは茶髪の男性。
名刺には『ライヲン 取締役社長 花畑安司』と書いてある。
今日は配信を手伝って貰える事務所に『ライヲン』の方との顔合わせだ。
『ライヲン』は博多に拠点をおく芸能事務所。
最初はアニーの会社に手伝って貰おうと交渉して貰ったけど断られた。
実績がないので無理!とのこと。
……まぁ失敗してもいいんですけどね。
お詫びとして紹介をして貰った事務所がここになる。
抱えている探索者は4人。
まだ出来て間もないそうで登録者数は4人合わせて6万ぐらいだそう。
「まぁ、その探索者の一人が私なんですけどね。学生時代の趣味をそのままいかせないかと思ってたんですが中々どうして伸びなくて」
「わかりますー。学生時代のノリでチャンネルつくったら全然人来なくてですね。俺は開き直ってボイチャ枠にしてました」
「過去の配信見ましたよ。私を見ているようでした。食べてる食材が全く別物でしたけど」
そこは、うん、すみません。
まぁ下層のモンスターの素材で食べても嘘動画って言われて伸びなかったからね。
「さて、田島さんは会社員をやられながら探索者をしつつダンジョン配信者をされるってことですけど、その辺は連絡済みなんですか?」
「あ、はい。自社には連絡済みです。ちょこっと宣伝して貰えれば全然オッケーと」
「……中々にフランクな職場ですね」
うちの会社、基本社員のやりたいことを応援するスタンスなんだよね。
ダーツの世界大会にいくっていって1ヶ月休みをとってる後輩もいたし。
今回の件も社長に相談したら即オッケーだった。
ただし、うちの親会社から宣伝の連絡があるかも知れないとのことだったのでその辺は今後要相談ということで。
「分かりました。では配信のサポートですが、わが社はまだ小さいので人手が足りず」
「最初はマネージャーさんが付かないってことですね。承知してます」
「ありがとうございます!一応最初の設定のところはこの後一緒にやりますのでよろしくお願いします。案件やコラボ先などアレコレについてもこっちで纏めてみますね」
「ありがとうございます!こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」
ガッチリ握手をして顔合わせは終了。
いやー、配信設定もだけど案件について対応して貰えるのは助かるー。
チャンネルのDMにすごい数の連絡が来てたからね。
よかったよかった。