第150話 フラグ
振り替えると真っ黒なフード付きコートを来ている人物が立っていた。
声的に男?若干俺より若い気がするな。
「旦那って……俺のこと?」
「そうさ、旦那以外に誰がいるって?こっちに来てくれよ。いいもんあるぜ」
「いいものって……って、おい!」
そう言うとビルの隙間に走っていった。
こういうのって大抵ヤバイことに巻き込まれるやつだよねー。
行きたくないなー。
最後のラスベガスなんだから平和に過ごしたい。
「ほーら。旦那!こっちこっち」
「……わかったよ。見るだけな。ってはえーよ!」
仕方なく黒フードの後ろをついていく。
「こっちだよ!旦那!」
「……おい!案内するならもう少し広い道にしろよ!」
「ハハハ、それだと『てんぷれ』にならないって言われたからね」
こいつ……本当に何なんだよ。
アメリカ映画に出てくるビルの合間を走り続けてる。
本当にゴミ箱とか転がってるんだなー。
こんなとこよく全力で走れるよな。
絶対に人間じゃないな、うん。
そもそもテンプレって言ってる辺りわかっててやってる説あるしな。
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「もう少し、旦那。そこの角を曲がったらすぐですよ」
「……ぜぇ……ぜぇ……準備……体操……してから……追いかければよかった……」
もう、30だと。息が、上がる……
ポーションとか準備してくればよかった……
最初から身体強化付与しとけばもう少し動けたんだけど……
「……旦那、本当に体力ないんだな。親方が言ってた通りだ」
「……おや……かた……?誰?」
「おう、こっちだ!オレたちの作業場さ!」
角を曲がると小さな山小屋があった。
回りが近代的なビル群に囲まれているから明らかに異質。
入り口には読めない文字で何か書いてある。
うん、この感じ、俺の知り合いだな……
勘弁してほしいよ……
「ようこそ!『ランファ工房』へ!親方が中でお待ちですよ!」
「……らんふぁ?……はぁ……はぁ……あ、あの酔いどれランファか!」
「……酔いどれって、まぁ親方はいつも酒飲んでますけど。今日はまだ2本しか空けてないですよ」
「2本しかって、それウィスキーだろ」
「ですね。寝起きに1本、グビッと」
どう見てもアル中のそれだよ……
アイツもアイツだけど、弟子も弟子だな。