第139話 四つの太陽との交流と深淵の素材
「そういえば、君久しぶりに『黒豹神の鏡』使ったね?そんな敵がいたのかい?」
「……あー、使ったの分かった?」
『黒豹神の鏡』は黒豹神―テスカトリポカ―から教えてもらったスキル。
正確にはテスラが所有している鏡を短時間借りるものだ。
「その辺は今度話すよ。もう排除はしたから影響はないよ」
「そうあって欲しいものだね。何かあったら私たちを呼ぶんだよ?世界が崩壊するのは神として見過ごせないからね」
……世界崩壊て、そんなことに俺が首を突っ込みたくないよ。
「さ、サオリンさんは日本のニュースキャスターを?」
「いえいえ、そういう訳じゃないんですけど。田島さんの知り合いということでこっちに来てまして」
「た、大変です、ね。あ。わ、私たちもあーさんはあーさんで呼んでるので、サオリンさんもあーさん呼びでいきましょう。あ、あと、私はトロと呼んで欲しいです」
「いいんですか?じゃそれで。ありがとうございます、トロさん」
「ふふふ。どういたしましてサオリンさん」
トロさんとサオリンは仲良くなったみたいだ。
「そういえば、あーさんダンジョンからアイテム持って帰れるようになったんだって?」
「……まあSSSランクだしな」
テスラさんがにこやかにこっちを見る。
……この感じ、この前のトミーと同じだな。
「チウチウー。この前あーさんが来たときに倒してたモンスターの素材ってある?」
「んーそうねぇ……うん、渡せるわよー。けど量的に結構あるわよ?」
「てことだ。持って帰ってくれ」
「……俺アイテムバッグ1個しかないから当分管理よろしく」
「えー、SSSランクになったんだろー?アイテムバッグの5個や10個は持ってるでしょ?」
さも当然のように持ってる前提で話さないで欲しいんだが!
アイテムバッグなんてトミーから渡された小さめひとつしかない。
それでも全然余裕で使えるんだけど。
思ったよりたくさん詰め込めるっぽいんだよねー、このバッグ。
「仕方ない。とりあえずアレ、持って帰ってるといいんじゃない?キミ、気に入ってたでしょ?」
「あれ?……俺なに倒したっけ……」
「……本当に君は記憶力がないんだね」
すみません。
「深淵1区の文明、ウルテカの破壊の権化、ティトガルダよ。ほら『ティラノサウルスだー!』って言って目を輝かせながら殴り飛ばしてたやつ」
「あー!いたいた!山よりもでかいティラノサウルス!」
「……あーさん、本当に何してるの?」
サオリン、ジト目やめてね。
いや、深淵のジャングル、恐竜が普通に生きてるんだよ!
男の子なら1度は乗ったり使役してみたいと思うじゃん!
「いや、大きさを考えろよ大きさを」
「ケッチャンの言う通りよ。ティトガルダは一口で山ひとつを削り取り、歯1本はワイバーンよりも大きいのよ。普通の人間なら近づこうともしないわよ」
ケルーさん、チャーリーさんに責められる。
いや、映画観てたから興奮してしまってですね、若気の至りというやつですよ。
あ、流石に説明になってない?
すみません……