第133話 vsダレティ 終演
ピッという音が一閃した後に響く。
にやけ顔のピエロはそのまま宙に浮いている。
ふと口から滴っていた赤い液体が口の横からも吹き出てくる。
瞬く間に真っ赤な液体が吹き出していく。
そのまま真っ二つに割れて地面に落ちる。
ピエロの前にいた炎の道化師も真っ二つ。
黒い玉も霧散して消えていく。
「……ふぅ、初めて本気で振り回したな、これ」
俺は『草千里』を見る。
流石トミーの作った剣だ。
傷ひとつついてないや。
「……ゴブッ、おのれ……タジマアラタ!」
ピエロはまだしゃべれるみたいだ。
もうでかい顔ではなく最初にあった姿になっている。
「まだしゃべれるのか」
「……根源に……傷が付きました……もうこの身体では復活できないでしょう……全く、バケモノめ」
「お前が言うな、バケモノ」
「どちらが……ただ後数時間の命でしょう……ざまぁみろ……」
「『仙桃招来』」
俺の前にピンク色の桃のような果実が出てくる。
「これ、結構秘密なんだけどな」
それを手にとって一口。
口のなかに甘酸っぱい果汁が溢れる。
一咬み毎に身体に力がめぐってくるのが分かる。
消えていた腕がみるみるうちに再生していく。
「……ククク……まだそんなスキルを持っていたとは……やはり規格外」
「これ使うの初めてだからな。ちゃんと再生されててよかったよかった」
グーパーしてみても感覚は問題なさそうだ。
「……全く、とんだ災難ですよ……次はフラクシアで……お会い……しましょう……」
そう言うとピエロは灰のようにサラサラと消えた。
フラクシアの奴らは根源と呼ばれる魔力の塊がある限り肉体的には死んでもすぐに再生する。
俺が倒したピエロ以外のやつも根源は破壊していないので深淵には生きてるはず。
今回は俺の攻撃でピエロの根源を破壊したので、再生出来ずに消えた。
ただ根源を破壊しても時間が立てば復活するらしい。
あのピエロは魔法に関してはありとあらゆる知識を持っていたので根源を弄っているらしい。
まぁ復活するにしても深淵―フラクシア―になるから当分は安全だ。
とりあえず討伐報告をリリアさんにして帰ろう。