第130話 vsダレティ 2
注意!今回から流血表現が出てきます!
無理な方は134話までお待ちください!
「『巨人の拳』!『樹鹿王の導き』!」
巨大な拳が、光を纏い一段と大きくなる。
おおきく振りかぶって、そのままピエロの顔面を貫く。
ドッゴォォォン
明らかに貫いた衝撃を感じたが手応えが薄い。
「『ミラージュ』」
声が聞こえたあと俺の後ろにピエロが湧いて出てくる。
「いきなりの殴打は、感心しませんね。顔が飛んでいってしまった」
「顔残ったまま言われても説得力ないね」
「確かに、ククク」
『ミラージュ』は幻影を操って本体を隠す魔法。
本来であれば実態がないただの幻だが、ピエロは実態をもつ幻影になる。
だからこそ本体が見つけにくい上に他方向から攻撃が来るのが厄介。
「それに、ワタシが8年間アナタの対策をしていないとお思いで?ほら腕が溶けてきましたね?ククク」
腕を見ると指先が灰のようにサラサラと消えていく。
痛みがないので幻覚のように感じるが、幻影魔法の感覚はない。
おそらくさっき殴った幻影に毒か呪いを仕掛けていたのだろう。
「その腕ではワタシを殴るのは出来ないでしょう?さぁどうします?」
にやにやと笑うピエロ。
確かに基本拳で殴ってきたからとても厄介。
本体を確実に殴るのが早いが幻影か本体かを見分ける術が分からないし、アイツのことだから本体でも身体に毒をいれててもおかしくない。
さて、どうしたもんか……
「考えていますね。そんな暇は与えませんよ。『マコー』」
ピエロが、そう言うとまた地面から何かが湧いてきた。
出てきたのは双頭の大蛇、長さで言えば25メートルは超えてるな。
俺の記憶でもコイツが使っていた使い魔にはいなかったはず。
「これはワタシが最近造ったモンスターです。『鮮血道化師』の名に恥じぬ素晴らしく、そして可愛い子達ですよ。ほら遊んであげなさい!」
その言葉を聞いて蛇が真っ先に俺の顔に向かって飛んできた。
ギリギリで避けると顔の横がピッと、切れて鮮血が吹き出る。
この蛇、移動する風圧にのせて鱗を飛ばしてるな。
地味にめんどくさいな……
さて、どうしようか……