第129話 vsダレティ 1
翌日、朝飯を食べて速攻ダンジョンに入る。
カメラは常にオン。
ちゃんと討伐した履歴を残しておかないとね。
ただ配信してる訳じゃないからコメントとか気にしなくていいのは楽でいいね。
とりあえず中層のクリスタルタートルの場所まで走る。
……ふぅ、はしったはしった。
とりあえず金鉱脈の壁のところまでついた。
時計を見るとダンジョンに入ってからまだ10分たってない。
まぁ階層ボスも道中のモンスターも走りながら倒してきたからな。
さて、あのピエロ覚悟しろよ。
「おい、ピエロ!出てこい!」
広場のクリスタルに拳を一発。
ドッゴォォォン
クリスタルの表面にヒビが入る。
思ってたより固いな。
スキルなしでも砕けると思ってたけど甘かったか。
「うるさいですね~。まだ睡眠中ですよ」
今回はクリスタルの中からではなく地面からピエロが湧いてきた。
「おう、ピエロ。お前昨日使い魔ネクロさんに憑けただろ。宣戦布告だこらぁ」
「おぉ~コワイコワイ。あの程度で宣戦布告とは大袈裟ですね~。たまには外の情報が知りたかっただけですよ」
「ギルドから聞いたぞ。あの使い魔が憑いた探索者が結構見つかったって。お前相当数ばら蒔いてるだろ」
やれやれ、といった風に首を振るピエロ。
「外の情報が欲しかっただけって言ってるでしょ。使い魔から情報を貰ってるだけですから?」
「ほー、情報収集が目的だったと」
「勿論です。それ以外になにか証拠でも?」
「あるぞ。ほら」
そう言って俺は鞄から瓶を取り出す。
中にはピンク色の拳サイズの玉がアルコール漬けにされている。
ピエロがそれを見て目を丸くする。
「な!……何故それを!」
「この世界の探索者を甘く見たな。そもそもお前の使い魔を見破った探索者は世界でも指折りの神聖魔法使いだ。寄生された探索者からお前の使い魔を破壊することなく引き剥がすのも造作なかったそうだ」
実際これをもとにアメリカは全世界のSSSランクの探索者をここに召集する予定だったそう。
まぁ未知なる寄生型モンスターがいるダンジョンなんて初めての情報だからね。
「コイツはお前の使い魔の中で一番厄介な奴だ。寄生した生物の魔力を糧に成長し、その後精神を乗っとる。これで情報収集は無理があるだろ?なぁダレティ?」
「……ちぃ、バレてしまっては仕方がありませんね。効率よく欲にまみれた餌を集めるにはよい方法だと思ったのですがね」
「残念だったな。この世界の人間、舐めるなよ」
そう言って俺は戦闘態勢にはいる。
「じゃあ覚悟しろよ。今度はきっちり、葬り去る」