第128話 あーさん、キレる
「まず、あのクラウンが何者か、ここで全部話してください。立川もいいわよね?」
「はい、リリア。正直日本ギルドも情報がほしいので、しっかり搾り取りましょう」
……搾り取るってそんな、情報はそこまで多くないですよ。
多分。
とりあえずフラクシア帝国とあのピエロについてもう一度説明。
「正直なところ、8年前の記憶なんで思い出せないんですよねー。多分会えば思い出すと思うんですけど」
「フラクシア帝国という存在があるというだけで十分スゴい情報ですよ。それにダレティというクラウン、今の状態でまだ回復途中とは」
リリアさんが頭に手を当てる。
まぁ探索者に使い魔を寄生させて自分のもとまで呼び寄せるぐらいは朝飯前って奴なんだよな。
本当に面倒な奴だ。
帰るときにきっちり始末しておけばよかった。
「情報ありがとうございます。とりあえずこの情報でいったんは納めましょう」
「……納めるというと?」
「あんなバケモノを深淵から持ち出した責任です。本来であれば探索者資格剥奪の上で永久投獄になるところです」
ヒェ……俺の想像以上の罰則だった……
剥奪だけですむと思ってたよ……
「資格剥奪も投獄もありません。が、あのクラウンを必ず討伐すること、これが絶対命令になります。拒否権はありません」
「あ、そう言うことですか。いや、友人が被害にあったんです。明日にでも全力でヤリにいく予定でした。絶対に許さない……」
お世話になったネクロさん、いやクリーチャーズさんに迷惑をかけたんだ。
……この落とし前、きっちりつける。
ドサッ!
「へ?」
何かが落ちる音がしたと思ったら、立川さんとリリアさんの奥にいた男性2人が倒れてた。
……ありゃ、殺気が漏れすぎたかな?
「……私も長くギルドにいますけど今のような殺気は初めてですよ。本当に、本当に資格剥奪なんてしなくてよかった」
「き、気が遠くなりました……」
「すみません……」
久しぶりに感情が押さえきれなくて。
オークションへの参加はいったんなしということになり明日すぐにダンジョンに入ることになった。
さっさと終わらせてしまいたいからね。
話がまとまったのでギルドから出ようとすると、入り口に10台くらい救急車が。
何でも突然多くの人が気絶してしまったそう。
どう見ても俺の殺気ですね、分かります。
本当に申し訳ない……