表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第5話

 休日ということもあり、友達と遊んでいる中学生集団や子供連れの親子、スーツ姿のサラリーマンなど様々な人の従来が多い小松駅。そこにセーラー服を着た少女が一人佇んでいた。

 ショートヘア―に小柄な幼い顔立ち。通常のスカート丈よりも短くアレンジされた制服に白のソックスを身に付け、女子中学生然とした可愛らしい少女、否かわいい可愛い弟がいる。

「あぁ可愛いよー可愛いよー」

 わたしは今日の目的も忘れて、弟に見惚れていた。


 【問題】僕はいま何をしているでしょう?

 【正解】絶賛、黒歴史作っています。

 姉が中学の頃、着ていた制服を僕がいま着ているのであった。

「はぁーー」

 重いため息が漏れる。

 なぜこんなことをしているのかと昨日の出来事を回想した。


 それは僕が会いに行くと言ってから始まった。

「おねぇーちゃん、だきょーします、妥協します!でもひとつだけ条件をつけるよ!」

「な、何かな?」

「わたしも行きます!」

「えええ」

「かわいい弟がクソじじいにいじめられないか監視します」

「僕はだいじょうぶだよー。一応、男だし……」

「ダメなものはダメ!!」

「わ、わかりました」

「そしてわたしが女装させます!」

 お姉ちゃんは恍惚と目を輝かせていた。


 まぁいろいろあり、今に至る。

 約束の時間は午後1時で良かったよね。

 あと五分後だ。

 緊張してきたな……

 昨日は勢いのまま、行くって宣言したけど、結局何をすればいいのかな?


 ぼーと駅にあるモニュメントをみて、過ごしていたら。

 突然、話しかけられた。

「紗奈さんですよね?」

 紗奈は姉の名前だ。

 この人がパパ?ってやつかな?

 声をかけられた方を向くと、そこには。

 スーツ姿で中肉中背の男性がいた。

 特筆すべき点はないが、あり大抵の言葉で表現すれば、サラリーマン風であった。

「は、はい」

 緊張しているのか、声がうわずった。

「すいません。遅くなってしまって……急に会社から連絡があり、それに対応してしまったらこんな時間になってしまいました」

 待ち合わせ時刻よりも5分遅れただけなのに丁寧に謝罪をし、申し訳なさそうにしている。すごく律儀だ。

「い、いえいえ大丈夫です。さっき来たところなんで……」

 僕たちは軽く自己紹介をした。

「つかぬ事、お伺いしますが、紗奈さんは本当に大学生なのでしょうか?」

 僕の恰好をみて不審に思ったのだろう。

「えっと、これはコスプレで……」

「あぁそうですか」

 何とか誤魔化せた――

 声でバレそうなものだが、僕がもともと中声ということもあり、不自然ではないようだ。

「あ、あのーこういうの初めてで何をすればいいのか……分からなくて」

「そうでしたら、もし嫌でなければ私とお食事でもどうですか?」

「は、はい。大丈夫です」

 僕はペコと首肯した。

「あと、よろしくです」

「はい。こちらもよろしくお願いします」

 相手の男性の方は礼儀正しく社交的で、こんな中学生みたいな僕にも敬語で対応してくれる。もしかして、良い人なのかな……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ