第2話 ヒーラー
そうして、言われた通り俺は大通りを歩いていた。なかなかの賑わいだ。そしてなおかつ………かなり俺の服装が浮いているのがわかる。如何せん、パジャマのままこっちに来たせいでどうにも………いや、それ以前に本当に世界観が違いすぎるのだ。あまりにも場違いな俺の服装………だが先ほどからチラチラと視界に入る俺をもしのぐほどの存在がいた。
「えっと、君はどうしてさっきから俺について来てるんだ?」
「!?」
と、なぜか驚くその少女。いや、俺より目立つ格好をして居るのだから当然だろ………と言うかちょっと目のやり場に困る。なかなかに露出多めな金色の装飾、褐色の肌に白髪、そして金色の瞳。まるでどこかの部族のような紋様が腰回りには入っている。
「えっと………警戒してる………?」
「!」
なにも言わずに頷きだけを返す。というか、ならなんで着いてきたんだよ………。
「まぁ、多分君が思ってるほど怪しい人物ではないよ。格好はアレだけど………。」
「………。」
そうは言っても怪しむような視線を向けられる。
「と、言うか………怪しいと思うならどうして君は着いてきたのさ?」
「それは………予言に貴方の存在があったので………。」
「予言?」
「そ、その………昔から見えてて………あの………貴方とは仲良くなっておけって…。」
どこか言葉足らずな部分もあるが、悪い人ではなさそうである。もっとも、ただの人ではないようだが。
「………そう!えっと、仲間がほしいんですよね?私、回復役になりますよ………!」
声を振り絞っていっているのだろう。顔も紅潮し、自分のキャパシティをとうに越えているように感じる。今にも泣きそうなそんな表情をされたらそりゃあ………拒むことはできないし、こちらからしても願ったり叶ったりだ。だから―――――。
「わかったから、そんな泣きそうな顔しないでくれ………悪いことをしてる気分になるから………。」
と、道端でであったその少女に俺はそう諭すのだった。
そうして………。
「あの、近くない?」
「はい!?」
とまあ、どうにも彼女は所謂コミュ障のようで会話が上手いこと成立しない。
「あの………大丈夫?」
「ひゃ………ひゃい………。」
嗚呼、もう駄目だ。この子。
「キツいなら、別に無理しなくても………。」
「それだけは駄目なんです!」
と、妙に気迫のある表情で彼女は言う。
「お、おう………。」
退っ引きならならい事情があることは何となく察したが………この生活がしばらく続くとなるとな。まぁ、いいか………いいか?
ともかく、早々に俺は一人仲間を作ることができた。もっとも、彼女と打ち解けることが出来るのはもっと先の話である………。