マニュアルミッションのススメ
先日、令和二年改正の道路交通法が施行されました。
今回の改正で大きく変更になったのは、運転免許証を巡る状況でしょう。
七十五歳以上の高齢者は免許証の更新の際、違反歴がある場合は講習を受けて合格する必要があります。
実車を使った講習内容は、一時停止や信号の遵守などが主な内容と想像します。むしろ、若年層でも違反歴のある運転手には同じような講習を義務付けて良いと思いました。
そして若年層では、中型と大型の免許証の取得に特例が認められるようになりました。
それから高齢者の限定免許証も増設されています。分かり易くまとめたものが以下の通りです。
◎高齢運転者対策
①運転技能検査(実車試験)制度の導入
75歳以上で「一定の違反歴」のある者に対して実施する。
☆流れ
違反歴あり:運転技能検査→認知機能検査→高齢者講習→免許証の更新
違反歴なし:認知機能検査→高齢者講習→免許証の更新
70~74:高齢者講習→免許証の更新
・運転技能検査に不合格者は免許取り消し、ただし大型特殊、小型特殊、二輪車、原付は継続可能。
・認知機能検査に不合格者は医師の診断を受ける義務がある。認知症の場合は免許取り消し。
・一定の違反歴とは、免許証の有効期間が満了する日の直前の誕生日の160日前の日の3年間において、「基準違反行為」をしたこと。
・基準違反行為:信号無視、通行区分違反、通行帯違反等、速度超過、横断等禁止違反、踏切不停止等・遮断踏切立入、交差点右左折方法違反等、交差点安全進行義務違反等、横断歩行者妨害等、安全運転義務違反、携帯電話使用等
②安全運転サポート車等限定条件付免許証
・限定免許の対象となるのは普通自動車で、以下のいずれかに該当するもの。
衝突被害軽減ブレーキ(性能認定)+ペダル踏み間違い時、加速抑制装置(性能認定):国土交通省の性能認定を受けた車に限るが、マニュアル車は不要。
衝突被害軽減ブレーキ(保安基準):道路運送車両の保安基準に適合すること(性能認定よりも高水準)。
◎運転免許の受験資格の見直し
・従来:大型、中型、二種免許証の取得には「21歳以上、普通免許等3年以上」が必要。
・改正:大型、中型、二種免許証の取得には「特別な教習」を終了すれば「19歳以上、普通免許等1年以上」に緩和される。
但し、若年運転期間中(21歳)に達するまでに一定の基準の交通違反をした場合、若年運転者講習の受講をしなかった時には、特例で取得した免許証は取り消しされる。
◎運転免許等に関する手数料(標準額)の見直し
運転技能検査(実車試験)制度、若年運転者講習の受講料
認知機能検査、高齢者講習の手数料見直し
◎自動車の積載物の長さ及び幅の制限等(緩和)
・従来:前後左右合わせて車体の長さ、幅の一割以内
・改正:前後左右にそれぞれ一割以内、合わせて二割まで許容される。
以上の内容で注目したいのは「安全運転サポート車等限定条件付免許証」の
衝突被害軽減ブレーキ(性能認定)+ペダル踏み間違い時、加速抑制装置(性能認定):国土交通省の性能認定を受けた車に限るが、マニュアル車は不要。
この部分ですね。
マニュアル車に限っては安全運転サポート等限定条件付免許証に切り替えなくても良いという意味でしょう。
マニュアル車が減少して久しいですが、それでも世の中全体では1%のマニュアル車が存在します。少数派ですけれども、私も含まれます。
つまり私がお爺さんになっても、限定条件付免許証へ切り替える必要性は低いと言えます。
私がマニュアル車に乗るのは、運転しやすいからです。
オートマチック車は漫然運転になりやすく、加速不要の状況で加速したり、逆に加速が必要な状況で加速してくれなかったりと、不満を抱く場面が多いです。
特に酷かったのは、代車で借りていた車で、スマートアシスト機能が付いていたのですが、はっきり言って運転の邪魔でした。
車線をはみ出す可能性があると警告音が鳴るのですが、路肩の広い道路で外側線に寄ると警告音が鳴り、道幅の狭い道路では外側線に寄っても鳴らないという困惑しか感じない仕様。機能を切りたかったのですが操作方法が不明で我慢して乗っていました。
他にも衝突を回避する自動ブレーキも実装されていたようですが、却って危険な代物でした。
緩やかな右カーブの片側二車線道路で、左側(第一通行帯)を制限速度で走行中、前走車が左折するのに減速しました。
私も普通に減速して車間距離をゆっくりと詰めつつ走行。完全に回避している状態で近づいたら、急ブレーキが掛かりました。
焦りましたね。
仮に速度が出ていればタイヤグリップの許容範囲を超えて横滑りの危険性があります。そうなれば、運転手の意図しない挙動ですから、右カーブの外方向、左側へ滑って追突してしまいます。
幸いにも、左折車両が逃げて行くのと、そもそも速度が出ていないこともあって何事も起きませんでしたが、安全装備とは思えませんでした。
私の自家用車も横滑り防止機能は付いておりますが、雪道走行では切っています。意図しない状況でブレーキがロックされると却って横滑りして危険です。
そもそも車に私が乗っているのであって、乗せられているのではありません。思うままに走らせられない車ほど危険な存在はないでしょう。
人工知能による自動運転が少しずつ実用化に向けて技術革新が起きておりますけれど、私は自分自身が運転するマニュアル車に拘りたいと思います。
私は自由をこよなく愛しておりますので。
車を運転しているという感覚はマニュアル車でしか味わえません。オートマ車ではどこか乗せられているような感覚です。
部品点数も少なく、燃費も良いマニュアル車で環境に良い運転をしましょう。