第37話 内政と学業を両立させる聖女白姫陛下。
◇◇◇
建国祭が終わってみると皇帝陛下が居なくなった。
代わりに行方知れずになっていた御髪の白い聖女ミセリコルディア様が八年ぶりに現れた。
と、思ったら数十頭の大きな竜が現れて、皇城のある小高い丘を粉微塵にして住み着いた。
訊けば、ミセリコルディア様の使役する竜達であると言う。
ミセリ様は、敵であるソレイユ公を討ち、麻薬蔓延の真犯人皇帝、他関係した貴族や聖職者をひっ捕らえ、聖女でありながら自身が、皇帝ミセリコルディア一世陛下になったと言う。
何とも信じられない話しなのである。
でも実際、ミセリ様が教会にいる時、『陛下』と傅かれているところが目撃されている。だから、本当なのだろう。
そんな感じに都民は感じているようだ。
程無くして、南東の都市国家群の自治権と併吞していた小国家をも自治を認める発表がされ、帝国の国名もミセリコルディア様のお使いの名前を着けたのだ。『リコリー・ブランシュ連合帝国』と……。
そして宰相は懇意にし隣国王女カロリーヌ様を付けた。
尚、ご自身の戴冠式は成人されてからと言うお話しである。
年明けし、芽月から学業にも復帰したミセリ。
今はもうミセリコルディアと言う名前で全て通している。
冒険者組合の組合員証は、ミリディアのままだが。。。
編入選考試験は公平に受けさせて頂いた。
二年生のA組。これはミセリコルディアの実力の筈だ。因みに、アーデも試験を受けた。一応身分を一代限りの準男爵を与えた。と言うことで、結果は三年B組。準男爵にして置いて良かった。
元皇族の方々は各々に処分した。元皇帝や側近の男性は鉱山奴隷として、女性はお決まりコースの修道院へと。
それと、嬉しい誤算があった。 ベルジュ辺境伯領が帝国に編入した。かなり強引に。
王国に反乱したのだ。国境警備の兵士様三千が国境では無く領境に展開したのだと言っていた。
「私共が仕えるに値するのはリコリーお嬢さんじゃなきゃ嫌だっ!」
って言ったそうだ。
「ね?人望あるでしょう?」
「ミリディアってスッゲーなっ!」
「アデルハイト。慎みをお持ちなさいませ。それでは何時まで経っても立派な淑女にはなれませんよ。」
(誰だロッテンマイヤーさんか?)
「ろ、ロッテンマイヤー先生!申し訳がございません。」
「お行儀の先生ですの。三年の。」
「マジかー。」
「これば、陛下。お初にお目文字致します。
私ロッテンマイヤー・コゼット・ド・ヴルフュール、と申します。以後お見知り置きを。」
「ここは学園であろう?ならば教師としての矜持を持つのが良いと思うが。どうか?」
「はっ。」
「だから、跪く必要が無いのでは?と言っているのです。」
「御意。」
「わたしは生徒で、ロッテンマイヤー先生は先生ですわ。わたしのが立場的に下ですのっ!」
「で、ですが………。我が侯爵家に自治権をお与え。自主独立を与えて下されて、」
「勘違いされると困るのですが、自立しろ。言うのと同じなのですよ。これから援助とか無くなるのです。だから国名を『連合帝国』と、」
「そうなんだよなー『リコリー・ブランシュ連合帝国』って、皇帝陛下だって!聖女様だって!おお?急に暗くなった。なんだ?」
―――グアオオオオー!『主殿ユグドラシルから客人をお連れ申した。』グオオォォォーー。。。
『我は新しい営巣地に行く。ではな我が主殿。』
「ご苦労様ペーター!」
「相変わらず凄い光景だよねえ古竜だっけ?三千歳。」
実は、皇城の跡地の小高い丘を営巣地にしたのだが、騒音問題で立ち退きをして貰ったのである。
今、ブレ郊外に営巣地を構築中なのだ。
「そ、それからおひ、お久しぶりですコルネリウス様。お逢いしとうございました♡」
と言ってコルネリウスに「ピトッ」っと抱き付いた。
「お、おいリコリー、その、『♡』って何?どう言うこと?説明しろっ!」
「貴様ぁ陛下に不敬であろう!!!」
――――え?お前もかぁ、ベルナールぅぅぅ。
「で、殿下。留学期間って一年では無かったのですか?早くお帰りなされ無くとも良いのですか?」
「(た、確かにいい男ではあるが、ホントに美人って言う表現が合うな。悔しいがカッコいいし物腰も柔らかそうだ。ううん惚れそうになるなー」
「ええと、僕はノーマルなんです。お気持ちは嬉しい。と言っておきますが………」
「殿下カッコが閉じておりませんでしたので、そのう同性愛的な言葉の羅列が駄々漏れでした。引きます。普通に………。ご令嬢の皆様も引いております。僕のこともそう言う目で見られますので、近付き禁止とさせて下さいませ。」
「僕にも剣術の指南頼めますでしょうか?コルネリウス様ー」
「しかし凄いなぁミセリは、呼称はミセリでいいのかい?」
「あ、はい。コルネリウス様♡」
「お義姉様ぁぁぁぁーーー!!!」
頭から突っ込んで来たのは、今期こちらの学園に転入し一年生になった辺境伯令嬢エレオノールだ。無いお胸なので痛いのです。