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白姫さまの征服譚。  作者: 潤ナナ
第一章 二節。
34/87

第34話 聖女白姫による処断。その2。


◇◇◇


「だ、だが、貴様には右腕があるではないか!ミセリの腕は確かにあの日、あの時に切った……切り落とした。右腕はあの部屋にあった。そう、切り落としたのだ。私が切り落とした、切り落とした筈だ!!!

やはり貴様、姪を謀る下賤の者であろう!?」


「叔父様。わたくしが、この国で何と言われていたのかお忘れですの?わたくしの力をお忘れなのかしら?」

 と、言うとミリディアは自分の隣の令嬢の左の腕を「スパッ」っと切り落としたのだ。

――――パーティー会場は、一種で騒然となる。

 悲鳴を上げる者、卒倒する令嬢。

 勿論、腕を切られたのはアデルハイト、アーデである。


 鮮血が迸り、パーティー会場は、阿鼻叫喚の地獄絵図と………は、ならなかった。


「ほら。。。治った。」

 ミセリコルディアの聖力……『癒し』により、アーデの身体から離れた左の腕は、くっ着いている。


「……。ね?これでお分かり?詐称公爵様。聖女ミセリコルディアでしょう?わたし……。」

「痛いッスわ。マジ痛かったッス。ミリディア酷いッス!」

「酷いのは、貴女の言葉遣い、よ?」

 などと、アーデの返り血を浴びたまま、宣うミセリコルディア。ミリディアの白銀の髪の一部は真っ赤になっている。


「………、さ、て、貴方。わたしからの決闘をお受けなさい。女公爵ミセリコルディアとして命じます。子爵様?」

「な、な、何が女公爵だっ!え、衛士ども、何をボサッと呆けているのだ!その聖女を語る女は剣…武器を皇宮に持ち込んでおるのだぞっ!!」

――――スチャッスチャッ。玉座に程近い場所に立って居た衛士隊が抜剣した。


「陛下、お下がり下さい」

 一人の衛士が皇帝を守るように自分の後ろへと皇帝を下げようとする。


「皇帝さん、この決闘観るべきッスよ?あんた当事者なんスから。」

「ぶ、無礼な物言い、名を名乗れ!」

「ん?あたし?」

 と言って、皇帝陛下の御前に立ち、アーデはそれはそれは美しいカーテシーを行って言った。


「わたくし、ユグドラシルのエルフ、コルネリウスが子アデルハイトと申します。陛下にご拝謁を賜り、恐悦至極に存じます。」

 と美しく微笑んだ。


 そうしていると、本当に妖精のように見えるのだ。

 只、残念なことに、左腕は血だらけだったのだが………。


「し、してエルフよ。本当に本当にあの者は、ミセリコルディア嬢なのか?」

 暫く、アーデの姿に見とれていた皇帝クレマン五世であったのだが、再起動した様子だ。


「ああ、本物に本モンの聖女だぜ!なんせ、ユグドラシルの源で癒しを続けてさ、やっと腕生えたんだ。三ヶ月ちょっと掛かったッスよね?」

――――ああー残念エルフに戻っちゃったぁー。

 ミリディアはガッカリ。。。


「のお、其方、其方の顔を見たい。見せてはくれぬか?ミセリコルディア?」

 そう皇帝はミリディアに願う。


 ミリディアは皇帝に近付き、そして、

「はい、ミセリでございます。陛下がまだ皇太子殿下であった砌にわたくしをよく、皇宮の中庭……バラのお花の咲くお庭に連れ出していただきましたね。」


「おお、ミセリ嬢。」

「……そのバラ園で殿下は、『ミセリの瞳と同じ花を贈ろうと思ったのだが、その瞳の色では、葉っぱを贈らねばならぬなぁー。』と仰るので、子ども心にわたくし、酷く傷付きましたのよ?」

「おお、本当にミセリなのであるのだな!ああ、あの時か?あの時余は、和ませるつもりであったのだが………。そうか幼児への配慮に欠けていたのだな?」


「さて、陛下。この場での決闘。お許し下さいませ。」

「おお!決闘であったの!だが、その前にその片刃の剣、見せてはくれまいか。」

「よろしいですわ。」

 そう言ってミリディアが黒剣を皇帝に渡し皇帝が手にした一瞬で、剣は形状を丸めてしまう。


「なっなんだ?どうなっておるのだ!??」

「陛下、その剣は、ミセリコルディア様で無くては使うことが出来ぬ代物ですわよ。」

 炎のように真っ赤な髪の、ボンキュッボンな美女が見事なストロベリーブロンドの美女と立っていた。


「其方は?」

「これはわたくしとしたことが不敬でありましたわ……。お初にお目文字致します。隣国、リヴィエール王国第一王女カロリーヌと申します。以後(以後お会いすることはありませんが)……。」

「あっ姉上!!!」

「王女殿下!?何故、何故帝国にいらっしゃられるのです?意味わかんないよー。」


「わたくし達も、この決闘、見定めたく思っておりますの。まぁ、瞬殺でしょうが………。」

「因みに、我々は、武器など携帯しておりません。」

 ピンクが言った。


「黙れ小娘がっ!何が『瞬殺』か!!!」

「まあ!帝国のそれも公爵閣下が、そのようなお言葉遣い、とは……躾のなって無い犬のようですのね?キャンキャンと煩いですわよ?」

「ええ、ウザイ蛆虫です。」


「これっアリエス!そんなことを言っては、蛆虫が茹で上がったタコになるではありませんか!」

「ぐぬぬ…。

 剣だ!剣を寄越せっ!そこのお前、その剣を貸せ!!!」

 衛士隊の一人から剣を奪うと、叔父シャルルは、ミリディアの前に向かいながら言った。


「どぉーれ、叔父の私が直々に手ほどきをしてやろう。まぁ、生きていれば、少しは肥やしになったであろうがな?」


 などと、とんでも無い死亡フラグを立てたのには本人、気付いていないのであるのだが………


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