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短編集

とある新種のネコの死がもたらしたもの

作者: 佐々木 龍

一匹のネコの死から考える、生きた証について。


挿絵(By みてみん)


旅人(たびと)」と名づけられたその猫は、その形状から「マヨネーズ猫(マヨ猫)」と呼ばれている。今のところ、他のマヨ猫はいないようだ。


 名前のせいかどうかは分からないが、マヨ猫はあちこちの町に出没した。冬の田んぼの真ん中を、気持ちよさそうに滑る姿。沖の方で根布や魚と戯れる様子。ワラビ採りの山の主にツチノコと間違われる。

 竹下通りのカルビーショップで、床に落ちた揚げたてポテチをかっさらう。女子中学生のプリクラに混ざる。


 一躍アイドル的存在となったマヨ猫には、野心があった。それは

「人間になる」

 そんな秘めた想いが神に届いたのか、ある日マヨ猫は一人の人間になった。


 元マヨ猫「旅人」は、作家になった。初めて書いた小説は、世界中で読まれた。題名は

「一匹から始める、世界の歩き方~繁殖しなくても、楽しく生きられる~」。

 旅人は、男でも無ければ女でも無い、新しい人類として発信し続け、そして死んだ。


 旅人の遺体は大量のマヨネーズになったので、葬儀の参列者はそれを瓶やタッパーに入れて持ち帰って、サンドイッチに塗ったりサラダにかけたり、野菜炒めの油にしたり、ポテトサラダをマイルドにしたり、ご飯にかけたりそのまま食べたり、お好み焼きにかけたり焼きそばにトッピングしたり、トーストに土手を作って真ん中に生卵を落として焼いたり、オムライスにデミグラスソースと一緒に垂らしたり、ありとあらゆる方法で食べた。


 皆、マヨ猫の死を悼んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] クスッとしました。 面白いお話をありがとうございました。
2019/10/08 17:11 退会済み
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