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骨董屋で魔法の杖を手に入れた  作者: 鬼頭 甚兵衛
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骨董屋で魔法の杖を手に入れた

         第三章 新たな魔法使い


 僕は、昨日の事が夢のように思えていた。とりあえず朝起きて、机の中から魔法の杖を取り出した。


「マジックハンド。」

と、唱えると魔法の手が出てきた。

「よしよし、夢じゃないぞ。」

すると、ドアの向こうから

「お兄ちゃん、起きてる?」

妹の声がする。


 僕は、マジックハンドを操り机の椅子に座ったままドアのノブを掴んだ。ドアのノブを回し、ドアを開けると妹が立っていた。妹は、ドアが開いたことより僕が椅子に座ったままの事に驚いていた。


「お兄ちゃん、今のはどうやって開けたの?」

驚いても無理はない。

「教えない。」

どうやら、妹にはマジックハンドは見えていないようだ。


「いってきます。」

妹と一緒に学校に向かう。

「お兄ちゃん、今日も早いんでしょ?」


 僕達は、他人から見れば兄妹に見えるだろうか?登校するときは、妹はいつも手を繋いでくる。僕も、嫌ではないので手を繋いで歩く。でも、そろそろ止めた方がいいかもなと、思っている。


「おはよう。」

同じクラスの菊地が寄ってきた。

「今、ネットの都市伝説で話題になっている事は知ってるか?」

菊地は、都市伝説や噂話しが好きな性格だ。

「知らない。最新の話題は何?」


 僕は、あまりネットの噂話しには興味がない。大半は、デタラメが多いからだ。まぁ、菊地に魔法の杖の事を話したら、あっという間に学校中に広がるだろうな。


「魔法使い。」

僕は、ドキッとした。

「どんな話し?」

菊地は自慢気に、

「魔法の杖を手に入れると、魔法使いになれるって話さ。」

僕の事だ。


 僕は、魔法の杖の事を誰にも話していない。と言うことは、僕以外にも魔法の杖を持っている人がいるんじゃないか?もしかしたら、結構な早さであちこちに魔法の杖が出てきているのかも?


「聞いてるか?」

考え事をしていたから聞いてなかった。

「何?」

菊地は、眉間にシワを寄せている。

「だから、この前起きた焼死事件。あれは、どうやら魔法使いの仕業らしい。火の気がないところで、急に人が燃えたらしいからな。」


 僕にはわかる。間違いなく魔法の杖の力だ。普通の人は、魔法の杖なんて信じないだろう。それに、魔法使いが犯人となると警察の手には終えないだろうな。


 僕は、学校も終わり帰宅途中だった。学校での菊地の話が気になり、事件が起きた場所に自然と足が向いていた。そこは、ビジネス街の暗い路地裏だった。


「ここが、現場か?」

路地裏の通り、うっすらと街灯に照らされていた。

「まだ、焼けた後が残っている。」

僕は、何をしているんだろう?正義のヒーローじゃあるまいし。


「ちょっと、いいかな?」

僕の後ろから、背広を着た男性二人が話しかけてきた。

「何でしょう?」

片方の男性が、背広の内ポケットから警察手帳を出した。

「ここで、何をしている?ここが、どんな場所かわかっているのか?」



 まぁ、そうだろうな。殺人事件があった現場に、高校生が居れば職質するだろうな。面倒はごめん被りたいので、適当に誤魔化す事にした。


「ああ、すみません。学校の友達に聞いて、興味本意で見に来ました。」

と刑事に話をしていると、刑事の後ろ四メートル位の所に黒の帽子を被った人が立っている。

「どうした?何かあるのか?」

僕の視線に気付いた刑事は、後ろを振り返った。


 その帽子を被った人は、男性か女性かは暗くて分からなかった。刑事の一人が、振り向く前に帽子の被った人の手には見覚えのある杖が握られている。


「危ない!」

奴は、杖を振りかざし何かを唱えた。

「熱~っ!」

僕は咄嗟に、刑事二人を壁に押しやった。


 新たな魔法使いの登場だ。奴が杖を振りかざし、何かを唱えた瞬間に杖からバスケットボール位の火の玉が飛び出した。僕は咄嗟に、刑事二人を壁に押しやって火の玉をかわした。


「何をした?大丈夫か?」

僕は、背中を少し火傷した。

「大丈夫です。それより、拳銃は?どう見ても、奴が今回の犯人でしょう?」

年配の刑事が、拳銃を取り出した。それを見て、奴は去っていった。


 やっぱり、思った通りだ。魔法の杖を手に入れたのは僕だけじゃなかった。しかも、あんな危険な奴が魔法の杖を持っているなんて。まだまだ、事件は起こりそうだ。



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