シオンの剣技
「神霍流剣術秘伝……『阿修羅』」
シオンはそう呟くと、剣を抜いて直ぐに鞘に納めた。それはほんの一秒足らずの出来事だった。その戦いを見逃すまいと意気込んでいたジニアでさえ、見逃してしまう程の光速の剣技。ナズナの剣技とは全く違い、抜刀術をベースとした剣技だった。
『……グアーーー!?』
斬られたローランは一瞬、何が起きたのか分からなかったようで、その場から動かなかったが急に痛みでも走ったのだろう。叫び声と共に口から血を吐き出しながらその場に倒れた。
「……安らかに眠れ……」
シオンはナズナのお決まりのセリフを呟いた。
『……』
ローランは今の剣技で息の根を止められてしまったらしく、完全に物言わぬ塊と化していた。
「やっぱりたいした事無かったな……恐らく人間のままの方が俺にとっては辛かったと思いますよ……」
既に息絶えたローランに向かって、そう呟くとローランから離れジニア達の元へ向かい歩き始めた。
「相変わらず滅茶苦茶な強さですね……これ程の抜刀術の使い手なんてシオン先輩しか知りませんよ……」
その一部始終を見ていたジニアはあまりの強さに驚くというよりは、脱帽するしかないようだった。
「大した事無いだろう? あいつもこの程度の剣技は使っていたのだろう?」
シオンはジニアにそう言うと、先程と同じようにその場に座り込んでしまった。
「確かにそうでしたが……久しぶりに拝見したシオン先輩の剣技に脱帽するしかありませんよ……」
恭しく頭を下げながらジニアはそう言った。
「ふっ……お前も随分と強くなったようだがな……顔を見て直ぐに分かったよ」
シオンは鼻で笑うとその場に横になってしまった。流石にフォンセと戦った時の傷が完全には癒えていなかったのだろう。
「!? 大丈夫ですか? シオン先輩……シオン先輩!!」
シオンがまるで気絶でもするように横になったので、ジニアは慌ててシオンの傍に駆け寄り抱き起した。
「あ、あぁ……すまないな……流石にちょっと疲れた……休ませて、くれ……」
シオンは今の今まで何とか、意識を保っていたのだろう。脅威も完全に消え去り、ジニアもいた事で安心したのか、そのまま気を失うように眠ってしまった。
そんな様子を見て、ジニアも安心したのか抱きかかえたまま、リリィがいる傍の木まで運び、木に寄り掛からせた。
「……ナズナ……無事でいてくれよ……」
ジニアは気絶したように眠っている二人を守るように、その場に立つとシオン曰くまだ生きていると思われるナズナに対して、そう言葉を口にした。




