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兄弟

「……ナズナ……」

 とてもでは無いが正気であるとは言えない状態のリリィを何とかなだめながら、ジニアはそう呟いた。

「……」

 リリィは叫び疲れてしまったようで、そのまま気を失ってしまった。ジニアはリリィをそっと木に寄り掛からせると、ナズナ達がいるはずの場所へゆっくりと歩き始めた。

「……ナズナ。お前程の奴がこんな所で死ぬ訳ないよな……」

 ジニアはそう呟きながらも、あの状況では絶望的なことくらい分かっているのだろう。眼の端にはほんの少しだけ涙を浮かべているようだった。

「……何も残ってない?」

 爆発のようなものが起きた中心に辿り着いたジニアは辺りを見回しながらそう呟いた。普通であれば何も残っていないなんてありえない話だった。そこには服の破片一つ落ちてはいなかった。

「……ちっ……間に合わなかったか……」

 急にジニア達がいた所の反対側から、そんな声が聞こえて来た。姿は未だに立ち込める砂埃のせいで確認する事は出来なかった。

「……その声は……もしかして……」

 ジニアにはその声の主に心辺りがあったのだろう、かなり驚いた表情をしていた。

「……ん? その声はまさかジニアか? 随分と懐かしい奴がいたもんだ……しかもこんな所で逢う事になるとはな……」

 砂埃も収まりようやく視界がはっきりとしてきた。そこに立っていたのはナズナの姿によく似た、騎士団の鎧を纏ったシオンの姿だった。

「シオン先輩。お久しぶりです……このような所でどうしたんですか? しかも間に合わなかったとはどういう事ですか?」

 急に現れたシオンに対して、ジニアは質問の雨を降らせた。

「……まぁ、落ち着けって……ジニア。心配しなくてもあいつは生きてるよ。それとあのフードの男もな」

 シオンは迫って来ていたジニアを片手で制すと、苦虫を噛み潰したような表情をしながらそう言った。

「どうしてそのような事が分かるのですか? 私には何も感じませんが……」

 ジニアは辺りの気配を察知する為、眼を瞑りしばらくの間集中したようだったが、何も感じる事が出来なかったらしくシオンにそう言った。

「……あぁ、確かにこの近くにはいないな……いくらお前でも無理だろう。これは兄弟だからこそ分かるシンパシーみたいなものだろうからな……」

 シオンは何とか言葉に説明しようとしていたのだろう。空を見上げながら言葉を探しているようだった。

「……なるほど。何となくではありますが、理解しました。それで、改めて伺いますがどういったご用件でここに?」

 ジニアはシオンの言いたい事の一部は理解出来たようで軽く頷いた後、シオンにここに来た理由を尋ねた。

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