戦いの果てに残るもの
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「そういう事があったんですよ……剣を交えてよく分かりました。貴方がシオンの言っていた弟だと。それにスタルリード何て性はこの広い世界の中でも他に聞いた事はありませんでしたからね……」
フォンセはシオンとの出逢いを語り終えると、ゆっくりと立ち上がった。
「……」
ナズナはフォンセの話を聞いて、尚更今の自分にはどう考えても勝ち目が無い事を悟ってしまったようで、少しだけ寂しそうな眼をしてリリィ達の方を振り返った。
「さて、そろそろ準備は出来たようですね? さぁ、私を楽しませて下さい。こんなに待ったのにも関わらず、期待外れだったら本当に殺してしまいますからね?」
まるで冗談でも言うように、フォンセはそんな事を口にした。
「……どっちにしても、殺すつもりだろうに……」
ナズナは大きな溜息を一つ吐くと、呆れたようにフォンセにそう言った。
「……ふふふっ……やはり中々面白い人ですね……さぁ、思う存分私を楽しませて下さい!」
フォンセはそう言うと、防御用の魔術も杖を盾代わりにする事も無く、ただ両の手を広げてそう叫んだ。
「……心配しなくても期待外れ何て言わせねぇよ……神霍流秘奥義『乱れ星花火』」
ナズナは口元を緩めながら、そう呟くと先程ローランに放った時よりも更に倍以上の数に分身してフォンセに迫った。ナズナが現在使う事の出来る最高の奥義『星花火』を影分身した状態で放つ事により、全方向からの同時攻撃が可能になった。正真正銘今のナズナが使う事の出来る最高の技だろう。
―――「ドォォォーーン」―――
ナズナが放った『乱れ星花火』によって、辺りはまるで爆発でも起きたようなけたたましい音と共に辺り一帯の木々が吹き飛んだ。
かなり遠くで見守っていたリリィ達の所にまで被害があったようで、ジニアはリリィの事を抱えて守るようにその場から避難していた。
「……ナズナぁぁぁぁーーー」
そんな中、リリィは悲痛な叫び声を上げていたが、恐らくナズナに届く事は無いだろう。それを遥かに超えるけたたましい音がもう一度鳴り響いた。
この状況だけ見ていれば、どちらもただでは済まないだろう。命を落としていてもおかしくないくらいの衝撃だった。
「……いやぁ……あぁ……あ、あぁ……」
ナズナが立っていた所を見つめながら、リリィはもう叫ぶ事すら出来なくなっていた。口から発せられるのはまるで壊れた笛のような「ヒュー」という、とても言葉とは言えない音だけだった。




