フォンセの預言
「……そうですか……それはとても残念です。貴方ほどの実力を持っている人なら、私の野望を叶える為に打って付けだと思ったのですが……それでは死んで下さい」
フォンセは一瞬だけ肩を落とすと、そのまま倒れ掛かって来るようにシオンに襲い掛かった。
「……くっ……流石に少しまずいな……」
シオンは何とか攻撃を躱したり捌いたりしているが、徐々に避けきれなくなっているようだった。
「……やはり、勿体ないですね。本当に私に協力する気はありませんか? 悪いようにはしません。少なからず貴方も心に闇を抱えているようですし……」
フォンセは攻撃をやめると誠意を見せる為か、今の今までフードを脱ぐ事はしなかったというのにも関わらず、このタイミングでフードを脱いだ。
「……!? この強さ普通の人間だとは思っていなかったが、まさか堕天使だとは……どうりでここまで強い訳だ……」
シオンもナズナに聞いたのか、それともたまたま知っていたのか堕天使の存在を知っているようだった。
「……ほう……堕天使の事を知っているとは、随分と勉強熱心な騎士様ですね。感心感心」
まさか堕天使だと知っている人間に巡り逢うとは思ってもいなかったのだろう。
「……いや、俺は勉強熱心何かじゃねーよ……弟がな……昔そんな話をしてくれた事があったんだ」
シオンは昔を思い出すように、遠い空を見上げながらそう呟いた。
「……なるほど、なるほど……ふむ。こうなると余計貴方の才能が欲しくなってきますね。武術も知識も優れている貴方が……おっと、すっかりとお名前を聞くのを忘れていました」
物欲しそうな瞳をシオンに向けてそう尋ねた。
「……シオン・スタルリード」
一瞬訝しげな表情を浮かべはしたが、名前を名乗った。
「覚えておきましょう……シオン・スタルリード……そう遠くない未来必ず私の所に来る事になるでしょう……貴方の弟の為に……」
フォンセはそう言うと、立ち込める煙と共にその場から一瞬で消えてしまった。フォンセが消えた事を確認するとその場に崩れ落ちた。何とか致命傷は避けているようだったが、至る所に傷跡があった。
「……はぁ、はぁ、はぁ……」
シオンは何とか気合で意識を保っていたようで、フォンセの気配が消えた事により安心してしまったのかそのまま横になってしまった。
「……ナズナの為にだと? この俺が何故あいつ何かの為に……」
シオンのその言葉は誰に届く事も無く、それからしばらくしてシオンは気を失ってしまった。




