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圧倒的な実力差


―――「ギャイーン」―――


「全く困ったものです……油断も隙もあったものじゃないですね……」

 ナズナが一瞬でローランの目の前に移動して、刀を振り下ろしたというのにも関わらず、またしてもナズナの刀はフォンセによって阻まれてしまった。

「……ちっ、まじかよ……」

 まさかまたしても阻まれるとは思っていなかったのだろう、ナズナは舌打ちをしてそう呟くと一気に距離を取った。

「はぁ……私の事舐め過ぎではありませんか? 意外と貴方も子供なんですね……」

 フォンセは大きな溜息を吐きながら、興味を失ったような眼でナズナの事を見た。

「……ジニア……リリィの事を連れてここから今直ぐ逃げてくれ……」

 ナズナは始めから分かっていたのだろう。ナズナの今の実力を持ってしてもこの男フォンセには敵わないという事を。少しだけ悩んだような表情をした後、大声でジニア達に向かってそう叫んだ。

「!?」

「!?」

 急にナズナから声を掛けられた事よりも、二人はナズナがこんな大きな声を出した事の方に驚いている様子だった。

「……うむ。なるほどなるほど……認識を改めなければいけませんか……思ったよりも出来そうじゃないですか……」

 ナズナがそう言った事で、実力差を理解していると分かったのだろう。先程まで興味を失っていたフォンセの眼に光が灯った。

「……早く行ってくれ……いくら俺でももって数十分……いや数分ももたないかも知れない……だから今の内に早く!」

 ナズナはもう一度ジニアとリリィに向かって叫ぶと、短剣も鞘から抜き二刀流でフォンセに向かって駆け出した。

「……少しは楽しませて下さいね……スタルリードの家系にはちょっとした因縁もありますし……そう簡単に倒れてしまってはつまらないですからね……」

 フォンセは虚空から杖のような物を取り出すと、その杖をナズナの方に向けた。

「……ダメ……辞めて、ナズナが……ナズナが死んじゃう……」

 リリィは身体を震わせながらそう呟いた。リリィには『星の記憶』がある。ナズナが死ぬ未来が見えたのだろう。

「……」

 ジニアはというと歯を食いしばってその様子を眺めているだけだった。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 フォンセから攻撃を一切してきていないというのにも関わらず、ナズナは既に息絶え絶えだった。

「ふん。やはり期待外れですか……シオン・スタルリードはもっと手応えがありましけど……貴方はこの程度ですか……」

 数分もしない内に息が上がってしまっているナズナをゴミでも見るような眼で見ながらそう呟いた。

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