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類稀なる才能

「もう……お喋りするのは構わないけど、余所見だけはしないでよね……」

 リリィは呆れたようにジニアにそう言うと、溜息を吐いた。

「す、すまない……俺も気が付いてはいたんだが……いや、何でもありません」

 ジニアが話している途中でリリィがジニアの事をギロリと睨み付けたので、それに気が付いたジニアは言葉を飲み込んだ。

「さて、どーしようかな……もう数分もしない内に、魔法の効果は切れそうだし……今の私の魔法では倒せそうに無いし……ジニアも難しいよね?」

 リリィは自分の実力と相手の実力をしっかりと見極めているようで、困ったような表情をしていた。

 ローランはというとリリィが先程の結界魔法によって拘束されているようだった。

「……あるにはあるが……まぁ、良いもう少し耐えればナズナが何とかしてくれるだろう……それでも駄目な時は……」

 ジニアには何か策があるようだったが、最後まで言葉を言う前にローランの拘束が解けてジニア達に襲い掛かって来た。

「ちっ、これ以上は持たないな……でもようやくナズナの準備が整ったようだな」

 ジニアはナズナの方を振り返る事無く、そう呟くと直ぐ様ローランから離れた。

「すまない……待たせたようだな。やはりここまで時間が掛かるのは実践向きでは無いな、だがこれで何とかなるだろう」

 いつの間にかローランの目前に立っていたナズナはそう呟いた。両手には爪のような物を装備していた。

 恐らくこの国の忍びが扱っている特殊な武具『手甲鉤』だろう。手甲鉤は本来利き手に着けて使用する物だが、両利きのナズナは両方の手に装備している。

 両方の手に手甲鉤を付けて戦うのはナズナのオリジナルの武術みたいなものだろう。

「ナズナが増えてる……」

 始めは一人しかいなかったのだが、リリィがそう呟いた時にはローランを取り囲むようにナズナが増えていた。増えていたと言っても実際に増える事はあり得ないので単に高速で移動しているだけなのだろう。

『? カズヲフヤシテモワレハウテンゾ?』

 その様子を見て一瞬だけ首を傾げるような仕草をしたローランだったが、直ぐにナズナを撃つために一人のナズナに腕を振り下ろした。

『そんな遅い攻撃は当たらねーよ……』

 ローランの攻撃を避けたというよりは、そもそもそこにナズナは存在していないみたいだった。

「これが俺がこの国の秘術をヒントに編み出した技だ……神霍流体術秘伝……『叢雲』」

 十人以上に増えていたナズナの分身がローラン目掛けて一斉に襲いかかった。

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